シガーキスはあなたと (ページ45)

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『チャ〜ン！！』

グラスがぶつかる音と私たちの声。
久しぶりの同期飲みにはミンギュもいて、あまりの自然さに気まずいと思ってたのがバカらしく思えるほどだった。

他愛無い会話に近況報告を織り交ぜる。

「実は俺、先輩と付き合い始めたんだ」

みんなが気付いてたソクミンの交際。
ジャジャーン！！という効果音がつくほど元気に報告されるかと思っていたら、意外にも静かだった。

まったく、いつの間にか何もしなくてもセクシーなナムジャになっちゃって......。

「よかったねぇ〜〜よしよし」

ミンギュにギュンっと抱き寄せられて頭を撫で回されるソクミンを見て、さっきの撤回。
やっぱりこう見れば以前と変わらない大型犬とトイプードルのような二人にホッと安心する。

「俺とAは、近々一緒に住むことにした」

ハオの報告に2人は目を丸くした。

「やー！羨ましいなぁほんと」

私とハオはなんだか恥ずかしくなって照れ笑い。
バシバシとテーブルを叩いて喜ぶソクミンと、グッと親指を立てるミンギュ。

......楽しいな。

それぞれに確実に変わっていく私たちの、変わらないこの雰囲気が心地よい。
これからもこうして、好きな人と好きなところで好きなことを好きなだけしていたい。
熱くも冷たくもない、ぬるま湯に浸っていたい。
今はまだ若い、でもじきに若くなくなって、私たちは大人になる時が来る。

この人と、あの人と、やりたいことはやっておかなきゃな......なんて焦りと感傷に、一人で浸った。

「俺、明日の仕込みあるから先出るわ」と、ミンギュが出て程なくして、私たち三人も店を出た。

同期飲みの後はいつもソクミンと帰るハオ。

「私、タクシーで帰るね」

心配そうな目で私を見るのは毎回のこと。

「同棲したらこれからは私と帰ることになるんだから、今日はソクミンと過ごしな」

「わかった。ちゃんと家の前で降りろよ」

「うん」

「おやすみ」

ふわっと抱きしめられて、チュッと額に軽くキス。

「あ〜〜もう、お二人さん！」

騒ぐソクミンにハオを預け、私はタクシーに乗った。

二人の姿が遠くなっていく。
今日1日が、終わっていく。
名残惜しい。