シガーキスはあなたと (ページ37)

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次の日、一緒に出社した私たちを見てソクミンは満点の笑顔を見せてくれた。

昨日一瞬でも怖いと思ったことが不思議なくらい、私はこの人に感謝している。
だってあの時ソクミンに会わなかったら私はミョンホの家に行くことまではしなかっただろう。

「ミョンホ、体調は？」

「ん。治った、Aが看病してくれたから」

看病......。
昨日したことを思い出して赤くなる私を見て絶対察してるはずなのに、そっかそっか、よかったね！って笑うこの人はやっぱり神様の次に優しい。

そこからはなんとなく、今まで3人で行くことが多かったランチも私とミョンホの2人きりになった。

最初はソクミンが気を遣ってくれているのかと思ったけれど、やがて彼は例の美人ヌナと一緒にいることが増えて、恋煩いする時セクシーなナムジャは過去の幻となった。

ユン先輩は相変わらず営業成績は上位だけれど、いつもどこか気分が悪そう。

大事な同期と気の置けない先輩。

私が取り合われてるわけでもないのに、なんだか居た堪れない。
人間関係に完璧なハッピーエンドは無いと思い知らされる。

とはいえ私はとても幸せだ。

「A、綺麗だ」
「んんっ......」

毎日ではなくても、こうして愛を確かめ合う時間があって、
その度に私はミョンホに詳しくなれるし、こんな素敵な彼に愛される自分に自信も持てた。

お泊まりが毎回彼の家なのが申し訳なくて、散らかった部屋も少しずつ掃除をして、プチ禁煙も始めた。

朝晩の2本だけと決めたルールを守って２週間ほどが経った頃、ミョンホから告白されたバレンタインから1ヶ月が過ぎて、ホワイトデーはミョンホの提案でミンギュのお店に行った。

「デザートにもこだわってるってミンギュが言ってたから」

そう言って私の手を引くミョンホは知らない、私が一度だけ一人でその店を訪れたことを。

店は相変わらず美術館みたいに洗練されていて、ミンギュは相変わらず黒シャツにサロンがよく似合っていた。
店長さんは奥にいるようだけど、今日は表には出てこない。

あの日私が試食したコース料理を、少し味付けが変わったな......と思いながら初めて食べる振りをする。