シガーキスはあなたと (ページ24)

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ミョンホのマンション近くの有料パーキングに会社の車を駐めて、タクシーで繁華街に出た。

歩道はカップルでごった返している。

はぐれないようにって腕を組んで歩く私たちも恋人同士に見えるだろうか？
今だけはミョンホの彼女になれたみたいで気分がいい。

無意識にニヤニヤしてしまう私の表情を確認して、頭上でフッと笑う擬似彼氏。

やば。今の顔見られた。

大通りから一本裏に入れば、異国風のクラシカルな石畳みと程よく年季の入った外観のお店が軒を連ねる、小洒落た路地がある。

古き良きものに価値を見出すミョンホが好きそうな景観。
ここに連れて来られるのは初めてだ、彼女とはよく来るのかな？

雑貨屋さんだとか、洒落た洋菓子店だとか、プレゼント選びに良さそうな店はいくらでもあるのに、ことごとく通り過ぎていく。

「早く買わないと、どのお店も閉まっちゃうよ？」

「ん」

人通りも少ないのに、組んだ腕を離すこともなく歩き続ける。
今日のミョンホは何を考えてるのかよく分からない。

もう、選ぶ気がないなら私が選んであげよう。

「私の好みでいいんでしょ？」
そう言って近くの店から物色する。

私なら高価なジュエリーやブランド物じゃなくてもいいけど、ミョンホの彼女だもんな......と思って入った、そこそこ名の知れたお店。

レジから離れたところにひっそりとシガレットコーナーがあるのを見つけてしまい、自然と足が向かう。

個性的な地球儀型のジッポや、懐中時計を模したデザインの携帯灰皿が可愛くてほんの10秒くらい眺めていたかと思う。

「それがいいの？」

と一緒に商品を覗き込むミョンホに

「いやいや、あなたの彼女は煙草吸わないでしょ」

とツッコミを入れ、店内を一通り回った。

色々見たけど、ずっと手元に残る物はなんだか簡単に選べなくて、ある考えに至った。

「ミョンホ、近くにお花屋さんあるかな？」

やっぱり女の子へのプレゼントはお花でしょ！
いくら女子力低い私でもお花もらえば嬉しいもん！