シガーキスはあなたと (ページ1)

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ベランダの窓を開けると冷たい外気が一気に部屋に入り込む。

「ぅぅ寒いっ！」

せっかく温めた部屋を守るようにそそくさとベランダに出て窓を閉める。

1月の朝はそれはそれは寒く、吐息が煙草の煙をより濃くしてくれるので、朝の一服がいつもより美味しく感じる。
今日も私は出勤前の至福を得ようと煙草に火を付ける。

ふーっと息を吐きながら、白い煙越しに向かいのマンションの一室、そのベランダを観察する。

今の時刻は午前7時26分。

既に洗濯物が干してあり、今日もあそこの住人はとんでもなく早起きなのだなぁと思う。

向かいのそのマンションは、私が住んでるところよりも階数が多く、外観がとても綺麗で人気なようで、元々あの部屋以外は全室埋まっていた。

そこに人が住み始めたと知ったのはかれこれ3ヶ月ほど前で、私がここに住み始めて1年半ほど経った頃だ。

いつものように出勤前の煙草を吸っている時に、カーテンや洗濯物があるのを見て気づいた。

まじまじと観察していたわけではないが、干されている洗濯物が毎日違うことや、下着類は無いので外からは見えないよう配慮してることや、週に1度は布団やシーツやぬいぐるみまで干してあることに気づき、きっと早起きで家事上手な女の人が住んでるんだと予想していた。

そしてどんな人かちょっと気になった私は、いつもよりだいぶ早起きしてベランダで向かいのその人が出るまで待ってみたことがある......

そして驚いた。

とても驚いた。