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「昔、言われたことがあったんだ。“櫻井くんは悪い男だよ”って…俺、その言葉の意味が全然分かんなくて、俺はただその子を助けてあげたかっただけなのにって」
「…」
「でも、今更分かったんだ。その子が俺に言いたかったこと。…すげぇ後悔してる。自分の無神経さに。…だから、その子と同じようにAちゃんを傷つけたくないんだ」
翔くんは困ったように顔を歪めながら、だけど柔和な表情を浮かべそう言った。
口調も声色も表情も穏やかなのに、紡がれたその言葉はひどく残酷な言葉だった。
翔くんは気付いたんだ。今までの自分の言動に。無自覚な優しさに。
だから私を“傷つけたくない”と言うんだ。だけど、それはあなたの優しいエゴに過ぎない。
私が望むことを叶えて欲しいなんて、一言も言ってないじゃない。
私は、あなたに溺れたいの。暗くて何も見えない深い海の底でもいいの。
「私は、傷ついてないよ…私は、翔くんのこと」
「ううん、ダメだよ。俺は知らない間に誰かを傷つけていることに気付かない男なんだ。それに、未だに過去の恋人のことを忘れられてない男なんてダメだよ」
「そんなのっ…ダメかどうかは私が決める！翔くんは悪い男じゃないよ！優しくて、誠実で…」
「Aちゃん、俺たちって友達でしょ？」
私の言葉を遮って、そう口にした翔くんの言葉が胸にグサリと突き刺さった。
グサグサと徐々に抉っていくのではなく、スパッと綺麗に狙い撃ち。
どうしてこんなときも、あなたは素直なんだろう。裏表のない素直さが痛い。
「俺はAちゃんと友達でいたい」
爽やかな笑顔で、にっこりと微笑んだ翔くん。
キラキラと眩しいその笑顔が好き。だけど今は大嫌いになりそうなほどだ。
悪意なく、私に言う。だから、ずるいんだ。どうしようもなく、ずるいの。
分かってる？あなたの優しさは、時に世界で一番優しくない優しさになり得ることを。
「また、会いたいな。今度は飲みにでも行こう？」
あなたは悪い男じゃないけれど、とても綺麗な言葉をひどく残酷に言う天才だ。
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にゃん(プロフ) - 続きを書いて下さってありがとうございます。足が遠のいたり書けなくなる人の気持ちも分かるので更新して頂けると凄く嬉しいです(*'▽'*)♪ (2022年11月27日 0時) (
レス) @page36 id: b010e36986 (このIDを非表示/違反報告)
みかぽ(プロフ) - 更新めちゃくちゃ嬉しいです！！待ってました！！またゆる〜く待ってます♪ (2022年11月7日 0時) (レス) @page36 id: 8aa8752128 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 待ってる人ちゃんといますよ！更新ありがとうございます！ (2022年11月6日 12時) (レス) @page36 id: 2ec53b58cb (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 妃紀さんお久しぶりです。更新ありがとうございます🤗とても嬉しかったです👏👏😍 (2022年11月6日 9時) (レス) @page36 id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 今晩は。続きが読みたいです (2021年10月23日 22時) (レス) @page32 id: cc7865b69e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃紀
| 作成日時：2019年8月25日 22時
