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『どこか遊びに行きませんか？』というメッセージに対し、即答でイエスと返し、『翔さんが行きたいところに行きたいです！』と完全に翔さん任せな返事をした。
翔さんとなら、どこに行っても楽しいはず。だから、場所はどこでもよかった。
翔さんが行きたい場所があるなら、そこに私も行きたかった。
この前のご飯の約束も、翔さんに任せっぱなしで、少し申し訳ないなって思う気持ちもあったけど、私は翔さんの傍に居られたら、それだけで幸せを感じるんだ。
会社の同僚に貰ったという美術館のチケット。２枚分。
せっかく２枚あるから、私が良ければ行かないか、と。
私を誘ってくれたことが何よりも嬉しかった。
友達だとしても、他に誰も予定がつかなかったとしても、それでも私を誘ってくれたことが嬉しい。
「やっぱ行かないですよね(笑)」
「えっ？…あっ、でも興味がないわけじゃないですよ！すっごく楽しみです！」
翔さんのその言葉に、あ！と余計な一言を言ってしまったことに気付いた。
滅多に行かない、なんて余計なこと言わないでよかったのに。
あー、失敗した。本音を隠せない性格を悔む。バカだ私！
「ふふ、はい。じゃあ、Aさんを誘ってよかったです」
「あの、楽しみにしてたのは嘘じゃないですからね？」
「分かってます」
「…ホントですか？」
「はい、もちろん」
「気を遣わせてしまった、なんて思ってません？」
粘り強く問い質せば、「俺も人のこと言えないなぁ」と翔さんは少し困ったような顔して、笑いながら答えた。
翔さんはやっぱり嘘をつけない素直な人だ。
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カフェで軽食を済ませたあと、美術館に向かった。
美術館なんて、いつ以来だっけ？と思い出せないくらい、久しぶりに来た。
だけど決して美術館自体が嫌いなわけじゃない。
だから、普段はあまり馴染みのない芸術に触れる機会を与えてくれた翔さんには、感謝したいくらい。
とは言っても、本心は翔さんと一緒に休日を過ごせる嬉しい気持ちで埋め尽くされていた。
楽しみにしていた、という気持ちの真意は、“翔さんと”だから。
なんて包み隠さず言えるわけないから、本当のことは口には出来なかった。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年12月2日 19時
