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「なんか今日のAさん、ちょっと雰囲気違いますね」
「えっ、あ…変、ですかね？」
「全然！可愛いなって思いました」
いち早く触れられた服装に、ドキドキしながら翔さんの反応を窺えば、サラッと返された言葉に一層ドキドキが増した。
翔さんって本当に罪だ。何の飾り気もなく、普通にそんなこと言うなんて。
ダメだ、今日は一段と翔さんがカッコよく見える。
スーツ姿の翔さんももちろんカッコいいけど、私服姿に免疫がないからか。
こんな翔さんと半日を一緒に過ごすなんて、いくら心臓があっても足りそうにない。
「翔さんも雰囲気違いますね」
「ダサくないですか？(笑)」
「えっ！全然！カッコいいですよ！全くダサくないです！」
「ホントですか？よかった。俺ファッションセンスないので心配で…」
私の言葉を聞いて、本気でほっとした表情を浮かべた翔さん。
ダサい要素ゼロなんだけど！ダッフルコート着てる翔さん、カッコいいに可愛いもプラスされて、いつも以上に翔さんが眩しい。
翔さんの隣に並んで大丈夫かな？って私の方が心配になる。
「Aさん、昼食べました？」
「あ、朝ご飯食べるのが遅かったので食べてきてないです」
「じゃあ、軽く食べます？」
「はい！」
翔さんの一言で、近くのカフェに立ち寄ることになった。
歩いて１分程度、チェーン展開している有名どころのカフェに入って、飲み物と軽食を頼んで空いていた席に腰を下ろした。
「ホントによかったですか？」
「え？」
向かい合わせに座って、翔さんがホットコーヒーを片手に少し申し訳なさそうに切り出してきた。
その言葉の本質が見えなくて、ん？と首を傾げて翔さんを見る。
「美術館、チケット貰ったからって、付き合わせちゃったのかなと思って…」
「えっ！いえいえ！そんな…美術館なんて滅多に行かないから楽しみにしてました！」
水曜日の夜、ラインで今日の約束を決めた。
『どこか行きたいところありますか？』と翔さんからメッセージが来て、ご飯だけの約束だと思っていたから
『翔さんの食べたいものでいいですよ』と返せば、『良かったら、その日ご飯だけじゃなくて、どこか遊びに行きません？』と返ってきた。
そのメッセージに、ご飯だけでなく、それ以上の付き合いも出来るのだと舞い上がった。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年12月2日 19時
