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「ねえ智くん。幼馴染の定義って何だと思う？」
ビールのジョッキを傾けながら、厨房にいる智くんに問い掛ける。
そんな今日は火曜日。
残業にならず、定時キッカリに上がれたから、智くんのお店に立ち寄った。
「幼馴染の定義ぃ？幼馴染に定義なんかある？」
意味が分からない、という顔で焼き鳥を焼きながら答えた智くん。
「私も分かんないから訊いてるの！」
「俺幼馴染いねぇから分かんないわ」
「いなくても何となく分かることない？」
私がそう言えば、智くんは、うーん…と眉間にシワを寄せて、考え込む仕草をしたあと、「そもそも、なんでそれ考えてんの？」と疑問を口にした。
そもそも、何でかって…それは“あの日”の潤くんの言葉が、ずっと引っかかっていたからだ。
あの日はそっと仕舞い込んだけれど、気になって掘り起こしてしまった。
潤くんが私に求めていた、“幼馴染の定義”の答えを見つけたくて。
「潤くんに言われたんだよね」
「潤くん？あー…あの濃いイケメンね！」
「智くん。そろそろ潤くんの名前覚えられないの？」
「顔がインパクトあり過ぎて名前ぶっ飛ぶの(笑)」
ケラケラ可笑しそうに笑う智くんは、いつも通りマイナスイオンを放出している。
やっぱりココは私の憩いの場だ。住みたいくらい居心地が良い。
「じゃあ潤くんが、えっと…幼馴染の定義ってなにって言ったんだ？」
「うん、そうそう」
ふーん…なるほどね、と頷きながら智くんが、出来上がった焼き鳥を皿に盛り付けた。
それをテーブル席にいるお客さんの方へと運んで、厨房に戻って、再び私の斜め前に立った。
「それはさ、潤くんの気持ちなんじゃない？」
「え？気持ち？」
ふと投げ掛けられた言葉の意味がすぐにピンと来なくて、考える前に口に出して繰り返せば、智くんは「そう、気持ち」と再度繰り返した。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年12月2日 19時
