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「でもね、非の打ち所なんてない翔さんだけど、昔から恋愛には不器用でさ、好きな女の子には全然アプローチ出来ないくせに、どうとも思ってない相手には気を持たせちゃうっていう天然女たらしなの」
“どうとも思ってない相手には気を持たせちゃう”
そのフレーズに思い当たる節があり過ぎて、落ち込んだのは言うまでもない。
やっぱり私が思っていた通りだ。翔さんって“天然”だ。
女たらし、という言い方は誠実な翔さんには似つかないけど、“天然女たらし”と翔さんを形容する二宮さんに不本意ながら頷ける。
だって現に私、その態度を取られてる。ということは、私は翔さんにはどうとも思われていない。
そんなの出会った当初から分かっていたのに、無性にズキズキと心が痛む。
「もしかして翔さん、Aちゃんにもそんな態度取ってる？」
考えていたことが顔に出ていたのか、二宮さんにド直球な投げ掛けをされ、ズキッと大きな矢が胸に刺さった。
「…翔さんって、ホントに無自覚なんですか？」
「それが怖いことに、マジで無自覚なのよ。大学のとき、その気にさせて告られて、困ってる翔さんすげぇ見た俺の経験から、完全に無自覚だって言える」
「そんな翔さん、怖いくらい想像できます」
「またイケメンだからさ、女の子も優しくされたらコロって堕ちちゃうし。悪気はないんだけど、ワルイオトコだよね」
「悪気はないっていうのがまたずるいですよね」
「そう、ずるい。でも無自覚だから何とも言えないわけ(笑)翔さんってモテるんだけど、そのモテ方が残念っていうかさ…何で気のない女の子にはガンガンいけるんだよって不思議だった」
翔さん、私が思っているよりも相当ずるい男だ。
今まで翔さんのことを好きになった女の子は、どうやって翔さんのことを断ち切ったんだろう。
この恋を進めるのは、やっぱり相当ハードルが高い。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年12月2日 19時
