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気になって、だけど見たくなくて、でも気付いたら視線は翔さんの方に向いていて
気付かれないように、人の間からこっそりと二人の姿を見ていた。
翔さんの隣に並んだ女の人は、可愛らしい雰囲気の美人な人だった。
きっとモテるだろうな、という雰囲気で、キラキラしているような感じの人。
緩く巻かれた茶色に染められたロングの髪の毛。遠目から見ても分かる大きな目。
翔さんを見ながら、ふわっと控えめに笑う顔が可愛らしい。
女の私から見ても可愛い、と思う。
翔さんもきっとこういう女の人に想いを寄せられたら嬉しいだろうな、なんて。
無意識のうちに自分と比べて自分を落ち込ませているのが私らしくない。
そんなことを考えていたら、あっという間に乗り換えの駅に着いていて、慌てて電車から降りた。
「あれ、Aさん」
降りたタイミングで私の名前を呼ぶ声が左から聞えて来て、咄嗟に声のする方へと目を向ければ、思っていた通り翔さんの姿が見えた。
そうだよ、帰る方向はほぼ同じだから、翔さんもこの駅で乗り換えになるんだった。
「あ、翔さんこんばんは！」
私の元へと近寄って来た翔さんに、とりあえず挨拶をすれば、「こんばんは」と翔さんはにっこりと笑って同じように挨拶を返してくれた。
「偶然ですね、同じ電車に乗ってたんですね」
乗り換えのホームへと足を進めながら翔さんと並んで歩く。
ニコニコと少し嬉しそうに爽やかな笑みを見せる翔さんは相変わらずだ。
相変わらずカッコいいし、爽やかだし、王子様だし、…ずるい人。
「ホント偶然ですね。こうやって会うの初めてですよね！」
「あ、確かに初めてですね。ほぼ同じ方面なのになぁ」
仕事終わりなのに、ましてや週の終わりの金曜日なのに、この前と同じように、翔さんはフレッシュさが残っていて、爽やかでカッコいいなぁ、と会う度に思ってしまう。
そして翔さんへの想いを更新していく。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年12月2日 19時
