＃10.アイシングクッキー ページ15
.
12月16日。26歳の誕生日の日は、潤くんの奢りで夕食を食べることになった。
『何食べたい？』と訊かれたけど、特にこだわりはないし、潤くんはオシャレだから良い店知ってそうだし、お店は潤くんに任せた。
どうせなら一日丸々付き合うよ、と言ってくれたから、その日は昼過ぎに待ち合わせをすることになった。
「A」
名前を呼ばれ目線を上げれば、よ！と軽く顔の高さまで右手を上げた潤くんの姿が見えた。
久しぶりに見た私服姿はやっぱりオシャレで、スタイルも良いしモデルさんみたいだと思った。
これはモテるわ、と潤くんのハイスペックさを改めて実感する。
見慣れているけど潤くんをかっこいいとは普通に思う。
約束の時間よりも少し早めに着いた私は、喫茶店で潤くんが来るのを待っていた。
「ごめん、ちょっと遅れた」
「ううん、全然大丈夫」
私の目の前の椅子に腰を下ろした潤くんに言い返せば、「あ、誕生日おめでとう」とサラッと言葉を零した潤くんは相変わらずの温度。
一見気持ちが籠っていないように思えるけど、決してそういうわけじゃないのは長年の付き合いから分かる。
「ありがとー」
「26かー。俺らも年取ったな」
「それなんか去年も聞いた気がする」
25かー、もうアラサーか、年取ったわ、とかいうことを言っていた記憶をふと思い出した。
「そうだっけ？てかこの前さ、地元近くで仕事あって、ついでに実家寄ったんだけどさ、そのとき偶然Aの母ちゃんに会って“Aは良い人いるの？”ってすげぇ訊かれた(笑)」
「えぇ？何それ…また余計なことを」
「この前別れたみたいっすよって言ったら、“潤くんAのこと貰ってやって”って言われた。お前に早く結婚して欲しいみたいだな」
「もう！別れたとか言わないでいいから！てか私も前にそういうこと言われたよ。“潤くんと結婚すればいいじゃない？”ってさ…いい迷惑だよねホント」
「マジ？俺のお袋も全く同じこと言ってた」
「私たちが結婚するなんてあり得ないでしょ。潤くんはもう身内みたいなもんだし」
「だな」
私のお母さんは昔から潤くんのことを気に入っている。
だから潤くんと私が結婚してくれたらいいなー、なんてことを最近は実家に帰る度言われていた。
それを言われる度、私は『絶対考えられないから』と言い返していたけど。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1828人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：妃紀
| 作成日時：2018年12月2日 19時
