ｰ 弐拾漆 話 ｰ ページ28
｢鬼…？｣
私がそうつぶやくと、先生は黙って頷いた。
｢その名の通り、人を喰らうのです。…村人ほとんどはその鬼に食い殺されてしまった…｣
ぐっと拳を握りしめて奥歯を噛み締める先生の話を黙って聞く。
｢封印は成功したものの、犠牲となった者たちが帰ってくるわけでもない…。神様は、後悔に苛まれてしまいました。それはもう、酷く思い詰めた様子だったのを今でも覚えています…｣
そこまで言った先生の言葉に、ふと疑問が頭をよぎった。
｢覚えているって…先生自身がですか？でも、その話は何百年も前の話じゃ…｣
よくよく考えればおかしい部分など山ほどあった。
まず、あの日、私たちが初めてここに来た日、ゾムは白々しくも鏡扉を開けていたのは記憶に新しい。
話の流れだと、ゾムとコネシマさんは元から知り合いだったって事になる。
それに先生だって、言っていることがまるで、現代とは考え難いような…。
そう一人で考えていると、ずっと黙って俯いていたゾムが此方を見て言った。
｢…信じられへんかもやけど、俺らは前世の記憶を持ったまま生まれたんや｣
｢…前世｣
聞き慣れない言葉に、言葉が詰まる。
よくあるファンタジー小説等でしか、聞かないような言葉。
｢俺は、コネシマを救う為に生まれてきたって言っても、過言ではないんや｣
｢…私もです。コネシマさんには前世でお世話になりましたから｣
｢何言よんねん、それは俺の台詞やろ、エミさん｣
ゾムと先生が私を見てそう言う中、コネシマさんがそれに対して口を開いた。
そんなコネシマさんを横目で見て、私はそれとなくもう一つの疑問を彼らにぶつけてみる。
｢…じゃあ、私は？｣
かつて言っていた、ゾムの言葉。
“＿＿＿＿お前にしか、出来んことなんや”
｢…お前は、｣
｢ゾム｣
ゾムがそう言いかけた時、それをコネシマさんが遮った。
｢…すまんな、A。俺はまだ、それに関してはお前に言うべきでは無いと思っとる｣
コネシマさんはそう言って、悲しそうな表情をした。
その顔を見ると、聞きたくても聞くに聞けなくて。
｢…そうですか、じゃあいつかその時が来たらで構いません。私も色々、情報量が多すぎて少し気疲れしそうなので…｣
｢…絶対いつか話すから、それまで待っとって欲しい｣
そう言ったコネシマさんの表情は、依然変わらなかった。
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汐里(プロフ) - 夢花(仮垢)さん» コメントありがとうございます(^ ^) ほんとはhtrnさんも出したかったんですが、人数の都合上で...汗 楽しんで頂けたら幸いです！これからもこの作品をよろしくお願いします（-人-） (2019年11月23日 11時) (
レス) id: 4d2571021c (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 花が好きなの、hらんらん先生や無かった…意外…でもrbさんに花持たせたい…絶対かわいい……ﾆﾖﾆﾖ(( 続き楽しみにしてます！ (2019年11月23日 11時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
汐里(プロフ) - saikaさん» コメントありがとうございます(^ ^) 確かに和風あまり見ないですよね...完全に私の好みを小説にしてしまいました笑 お褒め頂き光栄です！これからもこの作品をよろしくお願い致します（-人-） (2019年11月22日 18時) (レス) id: 4d2571021c (このIDを非表示/違反報告)
saika(プロフ) - コメント失礼します....！wrwrdの作品で和風系の作品はあまり見ないので凄く新鮮で面白いです.....！登場人物の描写からなにから何までとても好きです.....！これからも頑張ってください!!!! (2019年11月22日 17時) (レス) id: dff2d77afc (このIDを非表示/違反報告)
汐里(プロフ) - あややさん» コメントありがとうございます(^ ^) お褒めの言葉を頂き光栄です...！励みになります。これからもこの作品をよろしくお願いします（-人-） (2019年11月10日 7時) (レス) id: 4d2571021c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：汐里 | 作成日時：2019年11月8日 19時
