ー 拾参 話 ー ページ14
あれから結局授業は全て集中出来ずに終わった。
こればかりは、私が悪いわけじゃない…そんなことより、
「…確かめなきゃ、」
私が職員室に向かおうと教室から出ると、見慣れたあいつとばったり出くわしてしまう。
「あ、A〜!お前朝おらんかったやろ!先行くなら…」
ゾムがなにか喋っているがそれどころでは無い。
私は服の長袖の端を鷲掴みにして強引に引っ張る。
「着いてきて!」
「え?めっちゃ無視…痛い痛い!どこ行くねん!」
そんな彼の呟きも耳に入らず、終始頭の中ではあの鈴の音だけが木霊していた。
.
職員室に行き、先生に再び鍵を借りる。
「よく来るねえ」と言われたが笑って誤魔化しておいた。
ゾムは困惑した顔で「どしたん?そんな急いで」私に問いかける。
「…何かいる、あの部屋…」
眉を顰めてそう呟くと、ゾムはさっきとは一転して表情を変えた。
「…何かって、なんや?」
またあの、気難しそうな顔をしていた。
彼を横目で一瞥して私はその質問に答える。
「…分からないけど、でも…」
絶対に、何かがいる。
オカルトチックな話は好きではないが、霊を全く信じていない訳でもないので、やはり少しだけ恐怖を感じる。
それでも、行くしかなかった。
確かめないと眠れない、私はそんな性格だから。
「A、あのさ」
途端にゾムが立ち止まる。
私は後ろを振り返り、俯いている彼に「どうしたの」と聞いた。
しばらく複雑そうな表情をして黙っていたのだが、ようやく話を切り出した彼が言った。
「…あの祠に、神様がいるって言うたら、信じる?」
「…は?」
素っ頓狂な声で私はそう言ったが、当たり前の反応だと思ったのか、ゾムは顔を顰めたままだ。
「…何言ってるの?あんたこそボケた?」
そう聞くとまた、ゾムは黙ってしまった。
なんなんだと思いつつ、「早く行こ」と声をかけようとするより先に彼は笑いながら言った。
「…いや、気にせんといてや。…行こか、」
そう言うと彼は再び図書室に向かって歩き出した。
私より先を行く彼の背中を見つめながら、先程の意味深な言葉について考えていた。
.
____図書室につくと、少しだけ人が居た。
受験勉強をしている先輩方の邪魔にならないように、静かに階段を上る。
いつもなら口うるさいゾムもあれから一度も喋らなかった。それが何故か少し気味悪く思える。
そして端の方にある扉に再び鍵を指し、回した。
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汐里(プロフ) - 夢花(仮垢)さん» コメントありがとうございます(^ ^) ほんとはhtrnさんも出したかったんですが、人数の都合上で...汗 楽しんで頂けたら幸いです!これからもこの作品をよろしくお願いします(-人-) (2019年11月23日 11時) (レス) id: 4d2571021c (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 花が好きなの、hらんらん先生や無かった…意外…でもrbさんに花持たせたい…絶対かわいい……ニヨニヨ(( 続き楽しみにしてます! (2019年11月23日 11時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
汐里(プロフ) - saikaさん» コメントありがとうございます(^ ^) 確かに和風あまり見ないですよね...完全に私の好みを小説にしてしまいました笑 お褒め頂き光栄です!これからもこの作品をよろしくお願い致します(-人-) (2019年11月22日 18時) (レス) id: 4d2571021c (このIDを非表示/違反報告)
saika(プロフ) - コメント失礼します....!wrwrdの作品で和風系の作品はあまり見ないので凄く新鮮で面白いです.....!登場人物の描写からなにから何までとても好きです.....!これからも頑張ってください!!!! (2019年11月22日 17時) (レス) id: dff2d77afc (このIDを非表示/違反報告)
汐里(プロフ) - あややさん» コメントありがとうございます(^ ^) お褒めの言葉を頂き光栄です...!励みになります。これからもこの作品をよろしくお願いします(-人-) (2019年11月10日 7時) (レス) id: 4d2571021c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汐里 | 作成日時:2019年11月8日 19時