【d!】青空と憧憬[sho]

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海賊が？どうして？

一方的な思考だったが、やはりイメージが固まっていた私からすると疑問点しか出てこなかった。



『なんで…？』
sho｢俺も最初っから海賊やってた訳やないからな。彼是やれやらこなせだとか、反吐が出そうなぐらい押し付けられてん。忙しかったのは全員やけど、俺はそれが気に入らなくて。｣



苦笑を浮かべたシャオロンさんは、何処か思い出すのすら辛そうな顔をしていた気がする。気だけで、私の勘なんてほとんど当たったことも無いのでアテには出来ないけれど、彼のその表情はあまり見たくないなんて思ったのは何故だろう。

でも、とシャオロンさんは話を続けた。私もそれに耳をまた傾ける。



sho｢今こうやって、ゾムとコネシマと、部下と一緒に旅してたらもうそんなのも気にならないぐらいでな？｣
『そんな感じ、します。』
sho｢あ、マジ？やっぱ好きな奴らと居たら言動で分かるんやな。勝手なところもあるけど、そこ含めて仲間やし。ゾムとコネシマに至っては、一緒に抜け出してきたからな〜。｣




楽しそうに話すシャオロンさんを見て、いいな、凄いな…憧れるな、と言った心情を持ち始めた。
憧れる、という言葉は何よりも当てはまってる気がして、服をぎゅっと握り締めた。



sho｢Aは？｣
『え…』
sho｢自由になりたいって、思わへんの？｣
『私は…』



なりたい、なりたいけど、許されるわけもない。シャオロンさんみたいに勇気がある訳でもない。怖気づいてしまう自分に恥を知って、俯き気味になった。

答えなきゃ、口に出さなきゃ、意味もないのに、



sho｢でも、答えなんか今出さなくてもええんやで。｣
『え…』



ばっと顔を上げたら、私に歯を見せて、にこーっと絵に書いたように笑うシャオロンさんの姿。



sho｢答えとか、今出す必要は無い。誰も強制したりなんかしない。｣
『あ…』
sho｢制限時間なんか決められてない答えは、いつ出してもええんやで。それも自由の１つや。｣





心がストン、と軽くなった。

今の自分の仕事の向き合い方、海洋民族との関係、母の事も、なんだか、どうでも良くなった気がした。



これは勘なんかじゃなくて、確信を持てる。




sho｢やろ？ほら、自由への1歩やな！｣
『…待って、くれるんですか？』
sho｢おん、答えなんか、いつでも待ったるよ。｣



にしし、と笑顔になった彼に胸の奥が熱くなる。

自由への、1歩。


私が自由になりたいって伝えたら、貴方はどうするのだろう。


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