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それからきちんと仕事をこなし続けて3日。明日はやっとの休みでなんだか安心する。
今日終われば明日はゆっくり出来るんだ…頑張ろう。細い自分の指を鍵盤に乗せて、音を出す。綺麗にそれは鳴り響き、私自身が聞いても心地良いものに変わって行った。
『…ふ…。』
休憩の時間帯に1つ演奏が終わると、裏の方で休もうと歩き出した。しかしとある1人の男性に呼び止められる。
…私休憩したいんだけどな。これも接客だと気持ちを押し殺し、声のした方向を振り向いた。私の休憩時間…。しかし、その人物は少し意外な人で。
kn「よ、邪魔しとるで。」
『シャオロンさんとゾムさんのところの…えっと……』
kn「コネシマや。俺だけ紹介遅れてすまんな、これでももう1人の副船長やっとるで。」
ですよね、なんなら予想ついてました。言いかけた言葉を喉で押し殺し、彼の座っているカウンター席の隣に腰掛けさせて貰う。カウンターではオーナーがグラスを拭いていて、軽く頭を下げておく。
私が座ったらコネシマさんは満足そうに笑って、オーナーに語りかけた。
kn「あ、そこの酒貰ってもええですか」
「はい、かしこまりました。」
私のコップと氷も一緒に渡してくれれば、コネシマさんは出来るオーナーやで!と豪快に笑った。笑い方がとても癖のある方で、つられて笑ってしまう。
なんて面白い人なんだろう。
これを機に色んなことを聞いてみたくなった。今までの旅のこと、どんな事をしてるのか。
…シャオロンさんのことも気になったなんて言えないけど。
『いつから旅をしてるんですか?』
kn「あー…そういやもう8年目になるな」
『へぇ…長いんですね?』
kn「まぁな、元は俺達も3人では、なかったんやけど。」
言い難いのか視線を私から逸らす。他人に干渉する気もないので、そうなんですか、とそれだけ声をかけておいた。
8年前…か。私もそれぐらいの時期に仕事を始めた気がする。まだ未成年だったのにここを勧められて、そのままここの仕事をしてて…。今思えば少し懐かしい。
kn「ん…そろそろ眠なってきたし帰るわ。」
『外まで見送りますよ。』
kn「あー、じゃあ出入口でええよ。」
出入口でお見送りをし、私はまた中に入った。あと…1時間くらい。気合を入れて、頬をパシン、と叩いた。
お客様に接待のように接しているうちに時間は過ぎる。
「今週もお疲れ様。明日はゆっくり休んでね」
『はい、ありがとうございます』
明日は休みだ。
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四ツ谷抹茶(プロフ) - Alexさん» ありがとうございます…!!!そう言って頂けて光栄です、どうぞこれからも応援よろしくお願いします…! (2019年7月16日 19時) (レス) id: 2106793cf6 (このIDを非表示/違反報告)
Alex(プロフ) - とても面白かったです!応援してます! (2019年7月16日 13時) (レス) id: 9980b2e5cf (このIDを非表示/違反報告)
四ツ谷抹茶(プロフ) - かなさん» 最後まで読んでくださりありがとうございました!最高言っていただけるような作品を届けることができてとっても嬉しいです…!応援まで…本当に感謝しかありません、次回作も期待して待っていただけたら有難い限りです、よろしくお願いします!! (2019年7月15日 23時) (レス) id: e084f888fc (このIDを非表示/違反報告)
かな - 初見失礼します!本当に最高でした!もう最後のut先生の所は恥ずかしながら泣いてしまいましたw次は脅威の作品を見ようと思います!そしてこんな中学生の拙い文章を読んで頂けると嬉しいです。貴方様をずっと応援させていただきます! (2019年7月15日 23時) (レス) id: 2f3992ceb8 (このIDを非表示/違反報告)
四ツ谷抹茶(プロフ) - 理香さん» コメントありがとうございます!今回の小説は憧憬というキーワードを意識して書いていたのでそういう感想を聞けて私も嬉しいです…!これからの航海もいいものであるといいなと私も思います…ここまでの応援、感謝です!次回作もよろしくお願いします!! (2019年7月15日 19時) (レス) id: e084f888fc (このIDを非表示/違反報告)
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