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tn「…おやすみ。」
『おやすみなさい…。』
トントンと別れて、いつものお店から家まで歩く。今日は随分と疲れた気がする。…あんなに、深く追求するんじゃなかった。
傘をさしながら家に帰るが、他の酒場や飯所からはワイワイと騒がしい声がしてくる。
そのうち港町を抜けて、声があまり聞こえなくなってきた。いつもの道を歩く。雨はまだ降ってて、勢いはまだ弱いものの降っていることに変わりはなかった。
『知る必要は無い、か…』
勝手に海洋民族だとかなんとか決めたくせに、本当に勝手だよ。詳しいことを知ることすら出来ない悔しさに、どうしようもなく涙を流したくなった。
意味もわからずただ利用されるだけ。それなら、
嫌な思考が過ぎって頭を横に振る。
私は、何を…。
止まりかけた足を、誤魔化すように早めて駆け込むように家の中にへと入った。
何も考えなように、頭を枕に埋めてただ眠る。その嫌な物を、全て、かき消す様に。瞬きをすればするほど頭に頭痛が走ってきて、どうしようもなかった。寝たら忘れられる。
今日のことも水に流せる。
シャオロンさんに会いたいって思ってしまうのも、気の所為だから。
睡魔に身を任せて、死んだように眠った。
それでも朝は普通に来る。目が覚めれば、玄関に瓶詰めされた何かが置いてあることに気がついた。
…こんな時に、何が…?
それを手に取ってみると、少し小さな瓶いっぱいいっぱいに詰められた貝殻。この近くの海のものだろうか?砂は一切ついておらず、きちんと洗われたように見えた。
飛ばされないよう、瓶の下に敷かれてあった1枚の小さな厚紙を手に取って見てみると、綺麗やろ!と少し不格好に書かれた字。シャオロンという名前。
それだけで、どうしようもなく嬉しくなってしまった。
『…なんか、悪い霊でもついてたみたい。』
気分を晴らそう。瓶を部屋の中に飾って、朝ごはんをきちんと食べる。目玉焼きと野菜炒め、ご飯という簡素なものだったけど最近栄養が不足していた自分からしたら十分な程の健康食だったりする。
その後は居るなんて期待はしていないが砂場までかける。もうすぐそこだからいいかと、素足で。
砂を蹴る感覚が気持ちいい。
行ってみると、海辺付近の砂場に座っている人物が1人。
sho「…A?」
『シャオロンさんっ、私、海賊みたいにっ、自由になりたい!!!』
敬語なんかとっぱらって、言った言葉に、シャオロンさんは笑ってくれた。
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四ツ谷抹茶(プロフ) - Alexさん» ありがとうございます…!!!そう言って頂けて光栄です、どうぞこれからも応援よろしくお願いします…! (2019年7月16日 19時) (レス) id: 2106793cf6 (このIDを非表示/違反報告)
Alex(プロフ) - とても面白かったです!応援してます! (2019年7月16日 13時) (レス) id: 9980b2e5cf (このIDを非表示/違反報告)
四ツ谷抹茶(プロフ) - かなさん» 最後まで読んでくださりありがとうございました!最高言っていただけるような作品を届けることができてとっても嬉しいです…!応援まで…本当に感謝しかありません、次回作も期待して待っていただけたら有難い限りです、よろしくお願いします!! (2019年7月15日 23時) (レス) id: e084f888fc (このIDを非表示/違反報告)
かな - 初見失礼します!本当に最高でした!もう最後のut先生の所は恥ずかしながら泣いてしまいましたw次は脅威の作品を見ようと思います!そしてこんな中学生の拙い文章を読んで頂けると嬉しいです。貴方様をずっと応援させていただきます! (2019年7月15日 23時) (レス) id: 2f3992ceb8 (このIDを非表示/違反報告)
四ツ谷抹茶(プロフ) - 理香さん» コメントありがとうございます!今回の小説は憧憬というキーワードを意識して書いていたのでそういう感想を聞けて私も嬉しいです…!これからの航海もいいものであるといいなと私も思います…ここまでの応援、感謝です!次回作もよろしくお願いします!! (2019年7月15日 19時) (レス) id: e084f888fc (このIDを非表示/違反報告)
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