Sacred Story【ハリーポッター】 (ページ2)

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episode1-1 二人の出会いページ2

丘の上にポツリと佇む建物。聖ミカエル教会。

私たちサンチェスの一族は古く、
三兄弟の物語の時代からここで生活している。
死が造り出した蘇りの石で、
この世が荒涼とするのを防ぐために
神が私たちを遣わせたのだという。

そんな話も今はもう昔の話で、かつては
聖29一族の中でも高貴とされていた私たちも
今は没落して純血の思想もなく、
丘のふもとの村の人たちにも慕われて
ささやかで幸せな暮らしを送っている。

だけど今日は特別な日。
聖29一族が集まって、家の繁栄を願う日だ。
この日ばかりは、穏やかで優しい両親も
少し忙しない。

そんなふたりを邪魔しないように、
飼い犬のルパートと2人で向かうのは
家の外に広がる草原。

黄金色に色づいた草たちが丘の斜面に従いながら次々と穂先をひるがえして波を送る様がなんとも美しい。

ここにルパートと2人で座って読書をするのが
最近の私のお気に入りの過ごし方だ。

こうしていると、瞬く間に時が過ぎてしまう。
今日読むのは物語じゃない。魔法の教科書だ。

来年入学するホグワーツが楽しみで楽しみで、
入学の手紙が届いて教科書を揃えてから、
毎日予習を欠かしていない。

夢中になって魔法薬学のウィンゲンウェルド薬
のページを読んでいると、聞き覚えのない声が
突然頭上から降ってきた。

「君…サンチェス家の子かい？
それは…ウィンゲンウェルド薬？」

『はじめまして。えぇ、そうよ。
私は、A・サンチェスっていうの。
これは…魔法薬学が好きで…。』

「失礼！こちらから先に名乗るべきだった。
僕はドラコ・マルフォイ。
少し早く着き過ぎてしまって…
良ければ少し、一緒に勉強しないか。
僕も魔法薬学に興味があるんだ。」

やんちゃでお勉強になんて全く興味のない
村の子たちと違ってとても嬉しくて、

「えぇ！もちろん！！
あなたはどの薬が好きかしら！」

二つ返事でその誘いに応じたのだった。