キャンバス2 (ページ11)

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side Gaku ページ11

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お疲れ様でしたーの声と共に後にするグラウンド。最近は少しだけ日が伸びてきたけど今は真っ暗。

椎名、もういるかな。
見上げた図書室の電気は消えていて、少しだけ足早に昇降口に向かった。

岳「あれ、いないじゃん。」

昇降口には人なんていなくて、でも覗いた下駄箱には小さなローファーが残っている。めんどくさいと思いつつも仕方なく靴を脱いで上履きに履き替えた。

ーーーーーーーーーーーーー..........

1-2のプレートが吊るされた教室の扉の前。
"椎名ー帰ろー" なんて声を出しながら真っ暗な教室を覗き込むと机に突っ伏す人物を見つけて思わず跳ねる肩。びっくりした。怖いやつかと思ったし。

岳「.....椎名？」

なんでこいつは俺の席で寝てるんだろう。椎名を見下ろすと突っ伏した彼女の下にある学級日誌。

やべー、書くの忘れてた。代わりに書いてくれてたのかな。チョコ2つ買ってやらなきゃ。

岳「椎名、帰ろ。」

応答なし。どんだけ爆睡してんだよ。しかもこんなところで寝るなよな。来たのが俺じゃなかったらどーすんだよ。

なんとなく椎名の席に座って、サラサラと流れる髪の毛を梳くように頭を撫でる。机に頬杖をつきながら俺は彼女の無防備な姿を眺めていた。

『ん、』

いきなりパシッと掴まれる手。びっくりして固まると椎名はガバッと体を起こした。

『....はよ。』

岳「....おはよ。」

息遣いを感じそうなほど近い距離。驚きと動揺とで動けずいると彼女は眠そうに目をしぱしぱさせた。

掴まれている手がきゅっと握られる。
鼻が触れそうなくらい顔は近くて、寝惚け眼のトロンとした瞳と絡む視線。

ドキドキとうるさい心臓。
体が石になったみたいに動けない。

『しばさき..........柴崎！？』

「『痛っ！！』」

目が大きく開かれたかと思ったら思いきり頭突き。いってぇ。

岳「痛ぇよ。」

『ごめん、びっくりしちゃった。』

岳「びっくりして前のめりになるのおかしくない？普通仰け反るよね？」

『だからごめんってば。私もおでこ痛い。』

2人してズキズキするおでこを押さえた。

手は離されたし、視線も絡んでない。

身体になんて触れていないし、距離が近いわけでもない。

それなのに脈打つ鼓動がうるさい理由を
誰か教えてくれませんか？

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