キャンバス2 (ページ2)

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それから少しの間2人でパスし合ったりシュートを打ったり。

柴崎は相変わらず下手くそで、左手添えるだけとか無理でしょと言って最終的には両手で下投げシュート。
明後日の方向に飛んでいったボールに私たちは声を出して笑った。

岳「疲れたー。」

ゴロンと寝そべる柴崎の隣に腰をおろす。ボールを指の上でクルクルと回すと彼は目を輝かせた。

岳「それすごい！」

『すごいでしょー。』

岳「俺もできるかな？」

私からボールを奪うと人差し指を立ててそれを乗せる。
が、すぐにボールは指から滑り落ちて転がっていってしまった。

岳「無理だ。指折れる。笑」

『練習すればできるようになるよ。笑』

岳「椎名楽しそう。」

『え？』

もう一度横になった柴崎は目線だけ私の方へ向けた。

岳「バスケ好き？」

『.....好きだった。』

岳「今は好きじゃないの？」

『.....わかんない。』

ゴロンと横になって天井を眺める。

鉄格子の張り巡らされたその空を見て思い出すのはあの日のこと。

『私、今でも思い出すんだ。あの日みんなに言われたこと。』

《 Aのせいで負けた》

その言葉は今でも私に重くのしかかってくる。

『私はただ、勝ちたかったんだ。みんなと一緒に全国大会に行きたかった。
でもそれが間違ってたんだよね。私が試合に出なければ勝ってた。私がいなかったら、「やめろよ、」....。』

パシッと掴まれた腕。柴崎は体を起こして鋭い視線で私を見下ろしていた。

岳「たらればなんてない。おまえは試合に出て、怪我して、負けた。その事実は変わんないだろ。」

『.....うん。』

目頭が熱くなる。涙なんて零したくなくて唇を噛み締めた。

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