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promise03 ページ39

side 侑李



「本当にこれで良かったの?」

「良かったのかって聞かれるとそうじゃないような気もするけど…。」

「圭人に聞いてないよ。」

「あっ……ごめんね?」



僕がため息を吐くと、元々少なかった荷物を片付け終えた光が立ち上がった。



「いいんだよ。多分これ以上干渉したら、俺が戻れなくなりそうだし。」

「そうそうその身勝手さ。あーあ、やっと光だって思えてきた。」

「知念、失礼だよ。」




圭人に止められるも僕は納得がいかない。
結局、宏太と伊野尾ちゃんと光はこの研究から降りることになった。
この研究所から派遣される依頼は、まず一般の日常を、一般の幸せを知ることから始まると考えてのことらしい。


正式に契約は切っていないから、長期休暇とでも捉えた方が正確かもしれない。
僕と圭人と雄也はまだ完遂はしていないものの、ほぼほぼデータを取り終えたからこの研究は終了。
当然、もうあの学校にも用はないのだ。


一つの研究に何年も費やすこともあるし、数か月で終わってしまうものもある。
そうやって色んなところを転々と回って来たけれど、こんなに名残惜しいところは今回が初めてだった。


涼介と出会って、それからたくさんの経験をして。
僕は元々あの研究所に入ることを前提に勉強ばかりしていたから、青春があんなにキラキラしていて眩しいものだなんて思いもしなかった。


もう年齢で言えば大人なのに、子供でいることが楽しくて。
毎日小学生みたいに馬鹿なことをして時には怒られて。
そういう毎日が楽しかったんだ。


「でも圭人の授業は退屈だったな…。」

「何でいきなり悪口…?」

「悪口じゃないよ、アドバイス。」



もう…!と困った顔をすれば圭人は光くんの荷物を運ぶのを手伝う。
雄也はいつも通りだし、宏太も伊野尾ちゃんも大して変わりがない。


……もしかして、僕だけなのだろうか。
今まで研究とはいえ一緒に過ごしてきた人が、遠くに行ってしまう恐怖を感じているのは。


いつもは置いていく側だから、気付かなかっただけなのだろうか。



ずっと『当たり前』が欠損していた自分に、ようやく何かを手に入れることができたように感じた。
それはキラキラしていて眩しくて、それでいて簡単に壊れるけれど、核の部分は絶対に消えない強くて儚いもの。



それに色はなくて、見えないけれどそこにある。
僕は知りたくなった。



『それ』の名前を。

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天凪(プロフ) - Naraさん» お返事が遅くなりました…!そう思って頂けたなら嬉しいです!温かいコメントありがとうございます! (2017年11月26日 16時) (レス) id: 73cf59f499 (このIDを非表示/違反報告)
Nara(プロフ) - すごく良いお話ですね 読みながらその世界に入って行っちゃって(苦笑) すっごく泣けました (2017年11月19日 11時) (レス) id: 6028a802df (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - NMダイキング担さん» 最後までお付き合い本当にありがとうございました!いつもいつも温かい応援をしてくださるので、とても励みになっています!過去作も読んでいただけるなんて…!本当に嬉しい限りです! (2017年8月30日 22時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
NMダイキング担 - 完結おめでとうございます!とても続きが気になり、ワクワクしながら最後まで読ませていただきました!過去作で見てないものが3つあったので、これから読もうと思います!!! (2017年8月29日 22時) (レス) id: 238f9174c4 (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - NMダイキング担さん» ありがとうございます!ラストスパートになるかと思いますので、これからも頑張ります!更新速度も是非上げていきたいです!最後まで応援よろしくお願いします! (2017年5月29日 16時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天凪 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2017年5月7日 17時

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