ごめんの意味 ページ14
インターフォンの音に恐る恐る覗き穴から見えるドアの向こうには、やっぱり、照史がいた。
もうそんな時間…？
でも、どうしてもドアを開けられなくて立ち尽くしていると、握りしめていたスマホが鳴った。
照史部屋にいてへんの?
照史会って話したい
冷静に話せる自信なんてない…
どのくらいそうしていただろう。1度あった着信も、メッセージへの返事も結局返せないまま、またメッセージが届いた。
照史A、寒い!風邪引く!
そのメッセージで最初のメッセージから30分経っている事に気づいて慌ててドアを開けた。
A「ごめん…」
照史「やっぱりおったんやん。」
ドアを背にして座り込んでいた照史が、ドアの動きに合わせて移動しながらゆっくり立ち上がり、いつもの笑顔を私に向けた。
やめて…
会いたくなかったよ…
自分の気持ちを誤魔化す自信がなくて、照史に背を向けることしか出来なかった。
照史「なんで無視してたん、コンサートも途中で帰ったやろ。」
A「ちょっと体調悪くてさ！コンサートも多分席間違ってたし、メッセージも気づかなくて、ごめんね！照史ってば寒い中待ってることなかったのに！」
精一杯だった。明るく、あっけらかんと、そうすることしかできない。
照史「………嘘つくなや。」
A「嘘なんかじゃ…
照史「じゃあなんで泣いててん！」
照史に腕を掴まれて振り向かされる。
私を見つめる目は、あの時の照史と同じ目で…
私の瞳からは堪えきれない感情が溢れ出す。
A「だっ…て…
そのまま照史に引き寄せられ、腕の中に包まれる。
冷たくなったはずの身体なのに、私には温かくて余計に涙が溢れる。
照史「俺は…………お前のことが好きや。」
照史が…
私を…
好き？
そんなこと
あるわけない
照史「俺は言ったんやから、お前も自分の気持ち言えや。」
A「………」
照史「なぁ、A」
言えるわけない。付き合ってる彼がいるのに、照史を好きだなんて。
A「あ…きと…、ご…
その時、私を抱きしめる照史の腕に力が入った。
照史「頼むから…好きって言うてや……」
あぁ、もう…
A「………す…き……」
照史の背中をぎゅっと抱きしめて、私は罪を吐き出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たんかん | 作成日時：2017年2月23日 19時
