6話 ページ8
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「あ。うん」
「...そうですか」とあいづちを打つ。
ふと珈琲に目を泳がせた。
「もし宜しければ、私から珈琲を淹れて差し上げたいなと」
「え?」
いきなりの言動にアルフレッドは驚き戸惑う
「初めてですよね」
珍しいからとか
外国の方だからとかで優遇を受けているのかもしれない。普通ならそう思うだろう
「君が淹れてくれるなら、ぜひ飲んでみたい!」
ガタッと椅子が後ろへ引いた。
菊は少々驚き
店員の彼女も一瞬目を開いたが直ぐに微笑みになる。
「ありがとうございます」
ふわりとした笑顔はやはりどこか
寂しげだ。
これは優遇なんてものじゃない
「大丈夫なんですか!?」と日本。
「なにがだい?」
一気に飲み干したのは今まであった珈琲。
饅頭も彼が全部食べてしまった。
「そんなに一気に食べて飲んで大丈夫なのかと........」
「平気さ!むしろ足りないくらいだよ」
「えぇ...!?」
今にも待ち侘びているようなアルフレッドの表情はどうやら何時もの彼戻ったようにも見えた。
「ここは店員さんが珈琲を出してくれるというサービスなんてあるのかい?」
「ないですよ」
「!?」
もう一杯サービスなんて人見知りな人かではないと普通ならありえない。
「ないのかい!?てっきり俺は日本が彼女と友達なんじゃないかとって...」
「ん?まぁ....初めて会うわけではありませんが.......」
「じゃあきっとサービスなんじゃないかい?」
謎は深まるばかりだ。
すると珈琲を持ってカウンターから出て来た
彼女がいた。
「...どうぞ」
そっとアルフレッドの目の前に置かれた珈琲
身振り手振り釘付けのように見入ってしまう
「thank you ....」
「お金は...?」
菊がそう問いかけると
彼女はハッとしたように少し唇を動かした。
「大丈夫です。”さーびす”と言うものですので」
「ほらね!」
菊の前で二人は笑う。
アルフレッドは解答が当たって喜び
彼女は安心させるような微笑み。
「これは日本のsurpriseか何かかい?...」
と言ってアルフレッドはコップに口をつけた。フーフと少し吹く。
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作者名:ミクロ | 作成日時:2017年2月28日 22時