悲劇 続:TO リク ページ5
Aがうちに住むようになってもう半年が経った。カンタや後輩達もすんなりAを受け入れて、彼女はうちの家事、炊事を担当してくれていた。
カ「Aちゃん馴染めてる?俺ら怖がられてない?」
ト「いや、カンタも後輩も良くしてくれるから過ごしやすいって言ってた。まじでありがとう。」
カ「なら良かった」
リビングで皆揃ってご飯食べるようになったのも、忙しいからせめてAと居られるようにと全員で決めたからだ。そんな和やかな食事中に彼女は暗い顔でお箸を置いた。
『とも、話したいことある。』
ト「ん?なに?」
『あの...もう私だいぶここに居させてもらったから迷惑かける前に一人暮らししたい...』
全員が思ってもいなかった発言にびっくりで、誰も言葉を発さない。気を使ってると思ったのか更に早口で捲し立てる彼女。
『一緒に住むのが嫌だって言ってるんじゃなくて!それは勿論ここに来てから凄く安心できてるし、皆優しくしてくれるから幸せなんだけど、私を何とか動画に映らないようにって気を張らせるの申し訳ない...から...』
これは本当に俺が悪いわ。俺がなかなか決定打を出さないからこんなことになってる訳だ。
ト「あー...あのさ、ちょっとまってて?」
『え?うん...?』
部屋から持ってきたのは小さな箱。数ヶ月前からカンタに相談してタイミングを伺ってたけどこうなったら仕方ない。俺が手に持ってる箱をみて彼女は目を丸くしてる。
ト「なんのムードも無くて悪いけど、お前が先走るからさぁ...」
『え...嘘...』
ト「勿論全員の承諾は取ってる。なんならAの御両親にもこの前挨拶に行った。だから、変な事考えて俺から離れようとしないで?頼むから、俺のそばにいてほしい。気になるなら2人で暮らそう?」
『...いいの?』
ポロポロ涙を流す彼女の頬を拭って、口を開いた。
ト「俺と結婚してくれる?」
『お願いします...!』
ロマンチックの欠けらも無いプロポーズだけど彼女は嬉しそうに俺の首に腕を回した。目の端に映るカンタの顔が面白すぎて、たった今婚約者になった彼女にキスされてるのについ吹き出してしまった。
『もぉ...なんで笑うの!』
ト「いや、周り見てみ?気まずそうな顔してて笑える笑」
『...はっ!ご、ごめんなさい!!』
カ「いや...いいんですけども...」
ト「俺結婚とかするわ〜」
カ「おめでと」
一斉に聞こえる祝福の声を背に一生Aを守ろうと心に誓った。
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ぴあ(プロフ) - 海月さん» いつもありがとう海月 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - Lizさん» ありがとうございます!読み返して頂けるのは本当に作者としてありがたい限りです。 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - 時雨さん» 占ツクでもTwitterでもありがとうございます。 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - 珊瑚樹茄子さん» いつもいつも心温まるコメントを頂けて本当に糧になりました。ありがとうございます! (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - なぁさん» ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします! (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴあ | 作成日時:2019年5月29日 13時