歪愛:TO ページ38
『お久しぶりです』
ト｢おー、生で良かった？勝手に頼んでたけど。｣
『ありがとうございます！』
知人の紹介で知り合った1つ年下の女の子。初めてあったのは俺が大学2年生の頃。彼女は華奢で、幸薄そうな顔をしていた。知人からは″お前のこと好きだって言ってる女の子紹介するよ″と言われたにもかかわらず彼女はそんな事を1度も言わず。当たり障りのない会話をして帰る。そんな子がAだった。
とある日、俺に彼女が出来た。彼女を連れて飲み会に出ると、Aは初めての表情を見せた。怨みや憤り、そして哀しみが篭った目で俺の彼女を睨み付けた。その顔を見た時、俺はあろう事か...恋に落ちた。俺の事を想い過ぎて俺の彼女を恨むその姿を見て。
俺の彼女は次第に嫌がらせを受けるようになった。物が無くなったり、俺と別れろと言うような脅迫文が送られてきたり、典型的なそれは一通り。多分やってるのはAで、俺はそれを見て見ぬふりして彼女を大切にするふりをした。しばらくして別れた報告をした時、Aは何とも満足気にお酒を飲んでいた。
そんなAとの関係はあれから5年ほど続き、今日も楽しみな報告をする為にやって来た。
ト｢あのさ、俺彼女できたんよ。｣
『...おめでとうございます』
フッと翳る顔。そうそう、その顔が好きなんだよ。
ト｢でもさ、俺やっぱりYouTuberじゃん？隠してた方がいいかな？｣
『...知義さんは誠実な人だからファンに愛されてると思いますよ。きちんと報告した方がいいのでは？』
ト｢やっぱりそうかぁ...カンタにも話さんとなぁ...｣
『どんな彼女さんですか？』
ト｢めちゃくちゃ可愛いんだよ｣
俺の惚気を聞いて闇深い顔を見せるのもいつもの事。その顔が堪らなく好きで、俺はわざと彼女を褒めまくる。
ト｢それでめっちゃ料理も上手くて...｣
『へぇ...今度会いたいです。』
ト｢勿論今度紹介する。なんか今日もAと会うって言ったらヤキモチ妬いてたから、ちゃんと会えばAが良い奴って分かってくれると思うんだよな〜｣
『ヤキモチ妬きだなんて可愛いですね』
ト｢そうなんよ、可愛いんよ笑｣
俺が可愛いと言う度恐ろしく美しい愛想笑いを浮かべるAを見ながらラムコークを1口口に含んだ。次はどうやって俺の彼女を追い詰める？次はなんて言って俺はフラれるんだろう？前の彼女は俺のファンが怖いと言った。
俺はAの歪んだ愛情が心底愛おしい。
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ぴあ(プロフ) - 海月さん» いつもありがとう海月 (2020年3月11日 8時) (
レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - Lizさん» ありがとうございます！読み返して頂けるのは本当に作者としてありがたい限りです。 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - 時雨さん» 占ツクでもTwitterでもありがとうございます。 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - 珊瑚樹茄子さん» いつもいつも心温まるコメントを頂けて本当に糧になりました。ありがとうございます！ (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - なぁさん» ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします！ (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴあ
| 作成日時：2019年5月29日 13時
