世界に色を付けて:TO ページ31
ト「はぁ、ごめん...めっちゃ待たせた!」
『ううん?全然平気!』
彼女との待ち合わせ。渋滞に巻き込まれて数十分も遅刻したのに輝くほどの笑顔で受け入れてくれた。情けない事にはぁはぁと息を整えているとAは口を開いた。
『ともくんオレンジ色だね』
ト「ん?何が?」
『ううん、何となく〜』
俺の彼女は多分変わってる。普通の人とは違った感覚値で全ての物事を捉えているようで、たまにこういった色の例えを口に出す。その理解出来ないところが好きで告白したわけだ。
ト「どっか行きたいとこある?」
『デパ地下で美味しいご飯を買って公園で食べよ?』
ト「公園!?」
『あれ?違った?』
ト「ふふっ、いや、公園で食べよっか笑」
年頃の女性はブランド物だとかオシャレな服なんかを欲しがるものだと思ってたし、デートに行くってなったら男が全てデートプランを立ててオシャレなカフェやレストランに行くもんだと思ってた俺とは全く違う視野にデートの度驚かされる。
彼女の言う通りデパ地下で美味しそうなお惣菜を買って公園に入るとベンチに腰掛けた。肌寒いのに外で晩御飯を食べるなんて事を考えるAが突飛すぎて愛おしい。
『わ、寒いね』
ト「冬だからな笑」
『ここは紺色だから赤色に座るね』
ベンチの端を紺色、そして俺のすぐ隣を赤色だと言った彼女は俺の隣に腰掛ける。難しい感覚値だ。
ト「なんで赤色?」
『ともくんが白だから。』
全然分からない説明。いつも彼女は俺を白だと言う。彼女は心底嬉しそうに俺を見つめてて、分からなくてもいいやって思っちまうんだよなぁ...
ト「Aは何色?」
『私は私なんだからともくんが何色に見えるかによるでしょ?』
ト「俺は色で見てないよ?笑」
『私も色で見てないよ?』
ト「ん?」
『ん?』
お互い見つめあって数秒。彼女はふと思い付いたように口を開いた。
『私が色に例えるのって奇妙?』
ト「うーん。奇妙ではないけど俺には無い感性だな。」
『心惹かれるものは白なの。興味が無ければ無いほど黒に近付く。』
なるほど。サーモグラフィーの温度色的なあれか?白が心惹かれるもの...つまり、
ト「俺...白なの?」
『そうだよ?私は何色?』
ト「当たり前に白だな」
『へへ...嬉しい...』
ト「ちなみにオレンジって何?」
『私の為に一生懸命走ってくれたのがオレンジ色なの。』
ト「ははっ、わかんね〜笑」
やはり彼女は変わってる。だからこそAは白だ。
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ぴあ(プロフ) - 海月さん» いつもありがとう海月 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - Lizさん» ありがとうございます!読み返して頂けるのは本当に作者としてありがたい限りです。 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - 時雨さん» 占ツクでもTwitterでもありがとうございます。 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - 珊瑚樹茄子さん» いつもいつも心温まるコメントを頂けて本当に糧になりました。ありがとうございます! (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - なぁさん» ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします! (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴあ | 作成日時:2019年5月29日 13時