ずるい女:TO ◎ ページ18
『ともよしぃ〜!!!』
ト「おわっ!?びっくりしたぁ...」
いつものように″会いたい″の一言だけで家に呼びつけられた俺は、またか...なんて思いながら彼女の家にやって来た。扉を開けてすぐ号泣してるAは大学の同期だ。
『また浮気されてる!!』
ト「はぁ...だから早く別れろってずっと言ってんの。」
『無理だよぉ...好きなんだもん...』
Aの彼氏はまあまあなイケメンで女遊びが激しい男。大学は中退して毎日バイトと遊びで忙しい!みたいなやつ。俺の気持ちも知らず浮気されたと愚痴る彼女の話を聞くのはこれでもう30回目くらい。
ト「もういい加減に別れろよ...」
『...ともぉ、』
いつものように俺の首に腕をまわし甘えてくる。分かってた。俺はAにとって都合のいい男だ。身体だけの関係。慰め役。そういう扱いなのは重々わかってる。ただもう...キツいんだよ。
ト「...別れねぇなら俺もう次は来ないから。」
『っ、とも...やだ、捨てないで...』
ト「俺の気持ち、分かってるくせに...」
『っ、ごめん...なさい、』
俺から離れて1人肩を揺らし泣く彼女。今のうちに早く離れろ...今すぐ家を出て振り返るな...そう自分の心は訴えているのに俺の足は動かない。
『とも...私ともがいないと生きてけないよぉ...許して...』
目から大粒の涙を零し俺を見つめるA。黒曜石のように綺麗な瞳が幾重にも重なった誘惑の鎖を俺に巻き付けて俺を惑わせる。
ト「...わーったよ、泣くなって」
ゆっくり近寄って彼女を抱き締めるとそのまま唇を重ねた。嗚呼、
『とも、っ、』
いつものように服を脱がし優しく身体を解していく。俺はあの男のように雑な触り方はしない。分かるだろ?俺の方が愛してるっつーのに...
『おねがい...ともっ、すきっていって...』
ト「っ、すき...好きだよ、A...」
『んんっ、ともぉ...』
いつもそうだ。俺には好きと言わせる癖にAは絶対に好きと言わない。その事実が苦しくて、苦くて、張り裂けそうなほど痛い。俺は彼女の1番にはなれない。手に入れられるのは身体だけ。
ト「っ、なんで、別れねぇんだよ...」
『ごめ...ごめんなさいっ、ぁ...んっ!』
隣で疲れて眠る彼女を見つめて今日も溜め息を吐く。
ト「ほんと、お前はずるい女だよ...」
俺はこれから先もAが巻き付けた鎖から逃げられない。
329人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴあ(プロフ) - 海月さん» いつもありがとう海月 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - Lizさん» ありがとうございます!読み返して頂けるのは本当に作者としてありがたい限りです。 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - 時雨さん» 占ツクでもTwitterでもありがとうございます。 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - 珊瑚樹茄子さん» いつもいつも心温まるコメントを頂けて本当に糧になりました。ありがとうございます! (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - なぁさん» ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします! (2020年3月11日 8時) (レス) id: 84b390d948 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぴあ | 作成日時:2019年5月29日 13時