アルストロメリア3 (ページ46)

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144.迷い込んだその先でページ46

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「はぁ！？なんでAおんの！？」

『期待通りの反応ありがとう丈くん』

追加キャストなこと、撮影当日まで丈くんにだけ黙っててもらえません？ってダメ元でスタッフさんに無理言ってみたら、みんなめちゃくちゃ楽しそうに乗っかってくれたおかげで見られたこの反応。
既に現場入りしてた丈くんは、いつも以上に目をまんまるにさせて驚いてた。

『どうもー、6号車の乗客でーす』

「は！？うそやろ！？」

『うそじゃないでーす』

「なに！？なんで！？知らんかったん俺だけ！？」

『あたしが黙っててくださいってお願いした』

「なんで！？」

『その反応が見たくて』

少しずつ状況が読み込めてきたらしい丈くんは、上から下まで舐めまわすようにあたしを見てくる。

『ちょっとぉ、やめてよぉ、丈くんのえっちぃ』

「いやいやちゃうやん。Aがここにおるの信じられへんくてやな」

『え〜？ほんまに〜？』

「誰がお前のことそんな目で見んねん。1ミリも思ったことないわ」

『それはそれでひどくない？』

「そんなやつおったら見てみたい」

『怒られんでほんま』

「別にええし。怖ないし」

『おっけー帰ったら言っとくね』

「え？おるん？」

『今日からこっち来るって言ってた』

「……それはちょっと話がちゃうわ」

『んは、怖いんやん(笑)』

放送途中からのドラマ参加。うまくやっていけるかなって不安やったけど、キャストの中に何人か知り合いおるし、何より丈くんおるしでそんな不安は一瞬で消し飛んだ。

『いや〜まさか丈くんとドラマの現場で会うことになると思わんかったな〜』

「こっちのセリフやわ」

『……どうしよう。このあと撮影やのに丈くんと喋ってるから標準語モードに切り替えられへんかもせえへん』

「なんで俺のせいやねん」

『丈くん関西弁なんいいなー。あたしも関西弁にしてもらわれへんかな』

「関西弁喋る役2人もいらんやろ」

『んー、やっぱそうやんなー、頑張るしかないかー、頑張れるかな』

「え、ていうか待って？めちゃくちゃ髪切ってない？」

『え？今気づいたん？』

「いやなんか変やなとは思っとってん」

胸下まで伸ばした髪は、次のドラマの役作りもあって肩あたりまでばっさり切った。久しぶりの頭の軽さにまだ慣れへんくて、誤魔化すように毛先を指でさわってみるけど、当たり前に短くてソワソワする。