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「Aさぁ、最近ちょっと痩せたん気づいてた？」
「やっぱそうですよね？Aちゃん元から細いから俺の気のせいなんかなって思ってました」
「あの子な、食べるの好きなくせに、忙しくて疲れてたり追い込まれてたりすると食べることを一番に除外してまうんよ」
「え？そうなんですか？」
「今ドラマ2本やって映画もやってるやろ？まあそれ以外にもきっといろいろやってるやん、あいつ。多分やけど1人の時まともに食べてへんのちゃうかな？ただでさえ太られへんのにこれ以上痩せたら大変やん。せやから傍におる時はちゃんと食わさんと」
「倒れたりしたら心配やしな」って眉尻下げて言う照史くん。
そんなん、全然知らんかった。だってAちゃんて、いつ会っても明るくて元気で、それはプライベートでも仕事でも変わらんくて。つらそうなとことか苦しそうなとことか1個も見たことなかったから、強い人なんやなって勝手に思い込んでた。
「……俺にもなんか出来る事ありますかね」
きっと、俺なんかの前ではAちゃんが弱いとこ見せることなんてないと思うねん。俺には頼れるお姉ちゃんでいてくれようとするから。
そやったら、少しでもAちゃんの気持ちが楽になるように、少しでもAちゃんが笑顔になれるように、俺にしか出来ひんことしてあげたい。
「大晴はそのまんまでいいんちゃう？」
「でも、」
「A言うてたで。たいちぇくんの笑顔見てると自然と笑顔うつってまう〜って。大晴の笑顔が好き言うてた」
「そ、んなん、」
叶わん願いやと思ってても、好きな人から言ってもらえた好きなんて嬉しい以外の何ものでもない。それが例え恋愛感情の全くない、弟的な意味合いやとしても。
「せやから、大晴はそのまんま、Aに笑顔向けたって。ほんでAのこと笑顔にしたって」
「っっはい！！」
俺の堂々宣言の直後、私服に着替えたらしいAちゃんがタイミング良く控え室の方から小走りでやってきた。
『ごめんっ、おまたせっ！』
「走ってこんでもええて。ゆっくりで大丈夫言うたやろ？」
『でも、』
「ご飯は逃げへんから心配すんな」
『そんな食い意地張ってるやつみたいな言い方やめてよぉ』
やっぱり。どっからどう見てもいつも通りのAちゃんやねんなあ。俺にだってちょっとは弱いとこ見せて頼ってくれてもいいのに、なんて。
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作者名：てと | 作成日時：2023年1月29日 17時
