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『、ないてないもん』
「泣いとうやん。目うるうるやで」
『気のせいやもん』
「ちょっと体重増えた？」
『女の子にそういうの言ったあかんねんで』
「俺がおらんくてもちゃんとご飯食べてんねやろ？えらいな」
『……誠也くんなんでそんなに優しいん』
「なんか優しいことした？」
『だって、こんなにわがまま言ってるのに嫌な顔せえへんし、眠いはずやのに一緒に起きててくれるし、』
「せやなぁ、Aやからちゃう？」
『どういうこと？』
「Aやからどんなにわがまま言われてもかわいいなぁとしか思わんし、Aが寝れへんねやったらなんぼでも一緒に起きてたるよ」
『んー？』
「お前ちょっと眠なってきてるやろ(笑)」
『んーん、』
いつもとは違ってゆったりのんびり話してくれる誠也くんの声と、それに合わせるようにゆらゆら揺れる動きで眠気がきてるのは事実やけど、やっぱりまだ目を瞑るのは怖くもある。
「ええよ。Aが安心して寝れるまでこうしといたるから」
『でもせやくん明日もおしごと、』
「俺は大丈夫」
『ややぁ、せやくんもいっしょねて、』
「わかったわかった。Aが寝たらちゃーんと寝るから。ほら、眠なってきたやろ。なんも考えんと寝え？」
『ん、』
誠也くん自身の匂いと心地いい体温とで段々と瞼が重くなってくる。大好きな人に包まれてるからか、さっきまでの重くて暗かった気持ちは無くなっていってた。
「……寝た？」
静かになった腕の中の子を起こさんようにそーっと顔を見ると、気持ちよさそうに寝息を立てていた。
「ほんま手かかる奴やなあ(笑)」
白くてかわいいほっぺたには涙の跡が生々しく残ったまま。
なんでこんなに抱え込んでまうんやろうなあ。不安とか悩みとかは全部打ち明けてぶつけてくれたらいいのに。そういう謙虚で人のこと思いやれるとこは好きやけど、たまに押しつぶされていつか壊れるんちゃうかって怖くなる。Aにはずっと笑っててほしいのに。
Aがしっかり眠りに落ちたことを確認してベッドに寝かせると、少し離れた距離を惜しむように胸の中に顔を埋めてきた。やば、起こした？
『んん、せやく、』
「俺ちゃんとここおるよ」
『んぅ、、』
「ふは、かわいっ(笑)」
寝言で名前呼ぶぐらいに俺の事が大好きなこの子には一生笑っててほしいしずっと幸せでいてほしい。
腕の中でかわいく眠るAの頭にひとつキスを落として、俺も隣で眠りについた。
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作者名：てと | 作成日時：2023年1月29日 17時
