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あたしを抱きしめた誠也くんから伝わってくる痛いぐらいの愛が嬉しくて苦しくて、また涙が溢れてくる。
そんなあたしの涙を拭ってくれる誠也くんの親指でさえ、愛しいに変わっていく。
『ほんまはね、』
「ん？」
『なんか、全然寝られへんくてね、そしたら嫌なこととか苦しいこととかいっぱい考えちゃって余計寝られへんくなってね、そんなことで誠也くん起こされへんしなって、外出て気分転換したら考えへんくなるかなって、』
どれだけ大丈夫って自分に言い聞かせても、負の感情の連鎖は止まらんくて苦しくなって。泣き出して誠也くんのこと起こす前になんとかせなって、そんな思いだけで外に出た。
……結果的に起こして迷惑かけてるんやけど。
「次からはどんだけちっちゃいことでもええから起こし。Aの不安が無くなるまで話聞いたるし、そばにおったるし」
『……ほんまに？いいの？』
「勝手におらんくなられる方が困るわ」
『しょうもないことかもしらんで？呆れちゃうかもしらんで？』
「ええよ。Aが寝れるようになるまで付き合ったる。せやから絶対夜中に1人で外行くことだけはせんといて。どうしても外出たくなったら俺の事起こして。一緒に行ったるから。わかった？」
『……次からは気をつけます、』
「ん、ええ子。ほんで？どうや？寝れそう？」
『、わからん、』
「どうしたら寝れる？なんかしてほしいこととかは？」
『んん、、』
してほしいことはいっぱいある。けど、どれもあたしのわがままでしかないし、明日もお仕事の誠也くんには早く寝てもらいたいし。
「ほっんまにお前は、」
『………』
「とりあえずベッド行こか」
『ん、』
呆れながらもベッドまで手を引いてくれる誠也くんの優しさが申し訳なくてまた視界が揺れる。なんであたしってこんなにダメダメなんかなあ。
「ここおいで」
ヘッドボードを背もたれにしてベッドへと座った誠也くんが、自分の足の間をぽんぽんと叩くけど、泣いてることに気づかれたくなくて、誠也くんに背中を向けて座った。
「そっちちゃう。……って、なんでまた泣いてんの」
軽々と体を持ち上げられくるんと向きを変えられれば、自然と合ってしまう視線。なるべく顔を見られないようにと俯いていたのに、それはすぐにバレてしまった。
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作者名：てと | 作成日時：2023年1月29日 17時
