117.春を告げる音 ページ19
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あれから数日、ドラマ撮影が休憩に入りスマホを見ると、誠也くんから写真が1枚送られてきていた。気になってすぐに開いてみると、そこに写っていたのは金髪になってから数日しか経ってないのに髪色がピンクに変わっていた誠也くんの自撮り。
『わ、ぴんくや』
「A、スマホに笑いかけるのやめときや、怖いで」
『へへ、見て見て』
隣にいたれんれんに送られてきた写真を見せると、口では「やっば」と言うものの、表情は全く変わってない。まあそれでこそれんれんなんやけど。
「この色似合うの逆にすごいな」
『れんれんには絶対似合わん色やね』
「ディスってる？」
『どう捉えたらそうなった？』
「Aの顔にディスってるって書いてた」
『マイナス思考がすぎん？』
「ほら、電話鳴ってんで」
『あ、せーやくん』
「撮影始まる前に呼びに行ったるから出といで」
『ありがとうれんれんあいしてる』
「チクッといたろ」
『やめて』
けたけたと笑うれんれんのお言葉に甘えて自分の楽屋に急いで戻り、鳴り続ける着信に応答する。
『もしもし？ごめんお待たせ』
「すまん、撮影中やった？」
『んーん、今休憩中。れんれんとおしゃべりしてた』
「ほんまにずっと一緒におるんや？」
『れんれんが離れてくれへん』
「次会ったらしばき言うといて」
『ふふ、言うとく(笑)』
「廉とのインタビューのやつ見たで」
『あ、そっか。あれもう出てたんや。どう？写真盛れてたやろ？』
「写真はよかった。廉と距離近いのは腹立ったけど」
『ん？写真は？』
「キスシーンてなんなん？俺まだそこまで見てへんのやけど？」
『あー、それは見てない誠也くんが悪いですね〜』
まあそう言われると思ってあえてなんも言わんかったあたしもあたしやけど。なんせあたし寝込み襲ってる側やし。
「廉とキスしたん？」
『いや、言い方ね？』
「したん？」
『したけどぉ。でもそれはちゃうやんかぁ』
「ふーん？したんや？」
『お仕事やし許されたい』
「仕事なんはわかってるけど廉っていうのがリアルすぎてなんかいやや」
『えー、じゃあなに？大ちゃんやったらよかった？』
「は？」
『ごめんうそです』
自分で言っといてなんやけど、今のはさすがに冗談にもならんかったな。あぶないあぶない。せめて正門くん辺りにしとくんやった。
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作者名：てと | 作成日時：2023年1月29日 17時
