109.君の海を泳ぐ ページ11
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たまたまそこしか行ける日が無くて、帰省も兼ねて大阪まで見に行った望のミュージカル。スタッフさんに案内されて席に着き、ふと視線を感じて隣を見るとそこにいたのは、
『「(なんで！？！？)」』
なぜか2人一緒にいる誠也くんと正門くんでした。
「いや〜しかしびっくりしたな〜。もう始まる言う時に誠也くんに思っきし腕叩かれるから何かと思ったらAちゃんおんねんもん」
『あたしも2人が一緒におるってことがびっくりやねんけど』
「俺らのことなんやと思っとん」
『……不仲？』
「不仲はやめてほしいなあ(笑)」
終演後、なぜか3人で一緒に行くことになった晩ご飯。なんなんこの不思議なメンツ。
「帰ってくるなら言えよ」
『え〜、だって実家泊まるし明日には東京帰るつもりやったし別にいいかな〜って』
「Aちゃん明日もドラマ？」
『うん。あ、れんれんが正門くんによろしくー言うてたで』
「わ！廉に恋しい言うといて」
『ちょっとそれは荷が重いから自分で伝えてもろて』
「誠也くん、彼女さんが冷たいです」
「知らんやん」
『そういやこないだご飯行った時に大ちゃんも正門くんに会いたい言うてたなあ』
酔っ払った大ちゃんが「正門不足や〜」って駄々こねてて、友達ながらにこの人いよいよやばいなって思ったのをふと思い出した。
「俺も会いたいって大吾に言うといて」
『だから自分で伝えてもろて』
「大吾と2人で飯行ったん？」
『あ、』
「ふーん？2人で行ったんや？」
『いや、たまたまね？たまたま。ほんまはれんれんと3人で行くはずやったんやけどれんれん撮影終わらんかったから結果的にね？』
「ふーん？」
『まさかどくんたすけて』
「俺にはどうにもできひんなあ(笑)」
『うらぎりもの！』
頼んだ料理と飲み物が運ばれてきて、あたしと正門くんがアルコール、誠也くんがソフトドリンクでひとまず乾杯をする。
『望に会う時間無かったのだけが心残りやなあ』
「しゃあないやん。終わったあとも忙しそうやったんやし」
「座長ってなんやかんややることありますからねえ」
「時間ある時にでも電話かラインかで感想伝えたり」
『んー、そうねぇ、』
それまでの楽しかった雰囲気を壊すかのように、突然机に突っ伏すあたしにおどおどしだす正門くんと、何かを察したのか優しく背中をさすってくれる誠也くんに視界が涙で滲む。
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作者名：てと | 作成日時：2023年1月29日 17時
