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気づけばいつの間にやら車は見慣れた住宅街を走っていた。あれ、もう着くやん。なんやかんやあっという間やったなあ。
「Aちゃんちどの辺り？」
『そこの路地曲がったすぐのとこです』
「これ？」
『あ、ここです』
「え、てか家でかない？」
『いやいや。何言うてるんですか。絶対すえざわくんのおうちの方がおっきいでしょ。丈くんが言ってましたよ』
丈くんの話なんか基本聞き流してるからあんま覚えてないけど、なんかそんな感じのことこないだ言ってた気がする。
「ほんじゃあ、どっちがでかいか今度確かめに俺んち来る？(笑)」
『行きません！てかあたしがすえざわくんのおうち行くの意味わからなさすぎでしょ！』
「まあええわ。ほんじゃ、また来月な」
『ほんまにありがとうございました。また来月会うのはめちゃくちゃ不本意ですけど』
「ちゃんとオシャレしてきてや？」
『まあ、クリスマスなんで。それなりには』
「いやそうやなくて。ちゃんとデートっぽい格好してきてな？って意味」
『……デ、え、？』
「あれ、俺そのつもりやってんけど」
『……それはまたちょっと話が変わってくるんですが』
「なんで？クリスマスに2人で飯行くねんで？デートやん」
『そんなつもりでOKしてないんですけど、！』
「避けられてたこの1ヶ月の埋め合わせしてくれるんやんな？Aちゃん約束破る子ぉなんや？」
『あ、う、』
「ふは、楽しみにしてるな、クリスマスデート」
完全に言い負かされてたじろんでると、不意に伸びてきたすえざわくんの腕。ギュッと目をつぶると、頭をぽんぽんと優しく撫でられた。
驚いて目を開ければ、見たことないぐらい優しい顔してあたしのこと見つめてるすえざわくんに、嫌なぐらい顔に熱が集まるのがわかる。
『あ、えと、あの、』
「ん？」
『今日はありがとうございました！おやすみなさい！』
「ん、おやすみ(笑)」
恥ずかしくてどうしたらいいか分からんくなって、お礼だけ言って慌てて車を飛び出した。
玄関のドア開けたら、「おかえり〜ライブ楽しかった〜？」なんて呑気なお母さんの声が聞こえてきたけど、無視して自室へと駆け上がる。
数十分後、無事におうちに着いたらしいすえざわくんから来てた「今日はありがとう。クリスマスデート期待しててな」のラインに、また顔が熱くなっていくのがわかった。
……とりあえず当日までに新しい服探しに行こうかな。
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作者名：てと | 作成日時：2022年11月21日 23時
