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「Aちゃん」
『ほぇ、』
「今ボーッとしとったやろ(笑)」
『あ、いや、ていうか、はい、』
「なんそれ(笑)」
『すいません、ちょっとオーバーヒートしてました』
「ようわからんけど、来月ってAちゃん忙しかったりするん？」
『来月ですか？ちょっと待ってくださいね？』
スケジュール確認する為に開いたカレンダーアプリ。来月ってもう12月なんやなあ。そりゃ御堂筋もイルミネーションするわ。
『25日がオフで、28日まではお仕事って感じです』
「ちょうどええやん。ほんなら25日、空けといて。飯行こ。俺その辺りからまた東京行くから」
『正気ですか？あたしのこの1ヶ月の悩み聞いてました？よりによってクリスマスですよ？』
「そんなん言うたって俺がAちゃんに会いたいんやからしゃあないやん。大丈夫。ちゃんと人目につけへんとこ連れてくし、店も個室のとこ選ぶし」
『あ、もう決定事項なんや。そんであたしに拒否権ないんや』
「絶対Aちゃんには迷惑かけへんし、もしなんかあったら俺がAちゃんのこと守るから」
『………』
くそう。ちょっとキュンときた。くやしい。
横目ですえざわくんのことチラって見てみたら、タイミング良く信号で止まったもんやから、ばっちり視線が合ってしまって。
「ちょっとキュンとした？(笑)」
『そ、そんなことないです！気のせいです！ほら！信号変わりましたよ！』
「ちょ！痛いて！強いな！(笑)」
すえざわくんの腕をパシパシ叩いて発進を促すと、顔をくしゃくしゃにして笑いながら車を発進させた。うう、絶対遊ばれてる。いいおもちゃ見つけたと思ってるこの人。
「どっか行きたいとことか食べたいもんとかある？あんま詳しくないけど今度は俺が店探しとくわ」
『ほんまに会うんですか？クリスマスに？正気？』
「やからほんまや言うてるやん。諦め悪いな」
『なんでちょっと怒られたん？』
「当日来んかったら誰かしらに家聞いて迎えに行くから」
『え、こわ。ガチやん』
「当たり前やん。返事返ってけえへんかった分の埋め合わせしてもらわなあかんし」
『あ、まじで拒否権ないやつや。分かりました。諦めます』
「よっしゃ勝った」
『その代わり！やばいと思ったらすぐ帰りますからね！すえざわくんのことなんかほったらかしてすぐさま帰りますから！』
「ええよ、それでも。クリスマスに会えるだけで嬉しいから」
『ぐぬぬ』
「なにそれ(笑)」
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作者名：てと | 作成日時：2022年11月21日 23時
