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「俺、なんかAちゃん怒らすようなことしたんかなって。何があかんかったんやろとか、どうやったら機嫌戻してくれるんかなとか、そんなんばっかり考えとった」
『え！？いや！そんな！怒ってなんか！』
「今日やって丈にAちゃん来るでって聞いた時、喋ってくれへんかったらとか、目すら合わせてくれへんかったらとか考えてめっちゃ緊張しとったし」
『えぇ！？え、ていうか、あたし来るの知ってたんですか！？』
「え、うん。Aちゃん、丈になんも聞いてへんかったん？」
『聞いてない…！ぜっったいわざとやあの人…！』
丈くんのおせっかい！昔からそうやねん！変な気ぃ利かすくせに大事なこと教えてくれへん！それであたしの反応見て楽しんでんねんから！次会ったら絶対ご飯奢らせる！
「ふは、やっぱAちゃんはそんぐらい元気な方が似合うな(笑)」
『え、あたし今めちゃめちゃ怒ってますけど』
「そうやなくて(笑)」
『？？？』
「今日ずーっとしょげて俯いとったやろ？Aちゃんらしくないなあて思っとってん。うまいこと誤魔化してたつもりかもしらんけどバレバレやで」
『そんなに変でした？』
「うん、変やった」
『ド直球…！もうちょっとオブラートに包んでもらっていいですか…！』
「ごめんごめん(笑)でもやっぱ表情コロコロ変わって楽しそうにしてるAちゃんの方が俺は好きやで」
『すっ、！』
今この人ナチュラルに好きって言わんかった？！いや、そこに特別な意味が無いのは分かってるけど！分かってるけど、最近そういうの無かったから軽率にドキドキしてまう。
「あ、言うてもうた」
『も、もうやっぱあたし降りる！』
「ちょちょちょ！あかんて！ちゃんと家まで送るから！え！ほんまにシートベルト外してるやん！ちょ！つけ直して！」
『あ！降りたかった……、』
「絶対降ろさへん」
抵抗虚しく再び動き出す車。
降りようとして外したシートベルトは、運転席からスっと体を伸ばしたすえざわくんによってつけ直された。てか、ちょ、近いな。
すえざわくんの一挙一動にドキドキして、甘い香水の匂いにクラクラして、ああもう、期待したって無駄なだけやのに。……期待って、なにに？
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作者名：てと | 作成日時：2022年11月21日 23時
