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なにわのお兄さんたちに軽く挨拶をして会場を後にする。少し前を歩くすえざわくんの後ろを着いていってると、突然優しい顔してこっちに振り返るから思わず心臓が跳ねた。
「そんなびっくりせんでもええやん(笑)」
『だって急にこっち見るから』
「なんでそんな距離あいてんの？隣歩いてや(笑)」
『いや、どこで誰が見てるかわかんないので一定の距離は保っとかないと』
「誰も俺らのことなんか見てないから大丈夫やって」
『、でも、』
「あれやったら手繋いで歩く？Aちゃんすぐどっか行ってまいそうやし」
『だめです！！絶対だめ！！』
「ほんならちゃんと隣おって」
『、はい、』
あたしが来るのを待つように立ち止まったすえざわくんの隣に並ぶ。それだけで心臓が跳ねそうになるのは、きっときみくんのあの言葉のせい。
この心臓のドキドキを抑えるためにも違うことを考えようと必死で頭を回転させてると、さっき楽屋にいなかった人のことを思い出した。
『あ、大ちゃん、』
「だいちゃん？」
『あ、や、大ちゃん……、西畑に挨拶して帰るの忘れたなって』
「ああ、そういやさっきおらんかったな」
『んーまあいっか。あとで一言連絡入れときます』
「大吾と仲ええん？」
『あー、まあ、なんていうか…….、大ちゃんも望とおんなじで高校のクラス一緒やったんで、』
嘘はついてない。3年間一緒やったんはほんまやもん。でもなんかやっぱり、元彼っていうのはちょっと言いにくいっていうか、まああんま人に公にしていいことでもないし。うん。
「ふーん？」
『あ、あの！ていうか、ほんまに送ってもらっていいんですか……？』
「ん？ええよ？なんで？」
『いや、ていうかすえざわくんおうちどこですか？』
「俺？神戸やけど」
『え！遠回りになっちゃうじゃないですか！やっぱりあたし電車で帰ります！』
「もう遅いしあかんよ。俺が丈に怒られる」
『あ、っと、じゃあ、お父さんかお兄ちゃん呼んで迎えに来てもらいます。今日実家帰るし、』
「……そんなに俺と帰るんいや？」
『いや、、では、、ないけど、』
「ほんなら送らせてや。まだ一緒におりたいねん。あかんかな」
『、、』
そんな、優しい顔で見つめるのやめてほしい。勘違いしそうになる。すえざわくんはただのお友達で、丈くんに言われたから送っていってくれるだけやのに。
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作者名：てと | 作成日時：2022年11月21日 23時
