世界は恋に落ちている (ページ21)

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あの日、きみくんに言われた言葉がずっと頭の中に響いてぐるぐるしてて、それ以降も送られてくるすえざわくんからのラインに返事ができひんまま数週間が経った。

返さなあかんなとは思うものの、なんて返したらいいかわからへんし、またご飯とか行ったりして今度こそ変なことに巻き込んでしまったら申し訳ないじゃすまへんし。

望や大ちゃんの時とは違う距離の詰め方に戸惑ってる間にも、気づけばどんどん日は過ぎていってた。おかしいな。新しく友達作るのってこんなに大変やったっけな。

そんな中でお誘いされたなにわのライブ。
前の仕事の都合で開演ギリギリに会場入り。関係者席の、少し離れたところから見えたすえざわくんの姿には気づかないフリをした。、はずやのにどう足掻いても逃れられへん視線。これ絶対向こうも気づいてるやん。

終わったら顔合わさん内にすぐ帰ろうと思ってたのに、丈くんに引き止められて連れてこられた楽屋には当然すえざわくんの姿もあって。
無言で丈くんに視線を送ると、あからさまに逸らされてしまった。……あの人絶対わざと連れてきたやろ。

ああもうどうにでもなれ。
素知らぬフリして適当にみんなに感想言ってそそくさと帰ろう。そうしよう。

慣れへんこと色々考えたら頭爆発しそうになったから一旦癒しを求めにみちながちゃんの元へと駆け寄った。

『みっちー！ながおちゃん！めちゃくちゃよかったよ！めちゃくちゃかっこよかった！』

「A、俺は？なあ俺かっこよかった？」

みちながちゃんと楽しくおしゃべりしてたのに、いつの間にかあたしの隣に来てしれっと後ろからハグしてくるきょへち。睨みつけてみたけど全く効果なし。いつものことやから別に今更なんとも思わんけど。

『何回も言うてるやん？あたし年上で先輩な？きょへち年下で後輩な？わかる？』

「わからへん。Aなんで俺じゃなくてみっちーの団扇持ってたん？」

『だってみっちーかわいいし。前はながおちゃんやったから順番やん？』

「なんでふたりだけなん？順番なんやったら俺でも良くない？」

『だってきょへちかわいくないし』

「あ、ごめん。俺かっこいいんやった」

『ていうかきょへち近い』

「答えてくれな離さへん」

『ほんまじゃま動かれへん』

あたしの頭の上に顎を置くきょへちをひっぺがしてみたけど、負けじともう一度引っ付いて顎で頭ぐりぐりしてくる。ほんま頑固やな、この子。