世界は恋に落ちている (ページ15)

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タクシーの運転手さんにかっ飛ばしてもらってようやくお店に到着。案内された個室の扉を開けて第一声、謝罪の言葉と共に深く頭を下げるとすえざわくんの吹き出す声が聞こえてきた。

「そんな謝らんでもいいやん(笑)」

『だってめちゃくちゃ遅れちゃったし…、お待たせしてしまってごめんなさい』

「気にしてへんて。仕事なんやししゃあないよ。Aちゃんに会えるん楽しみやなーって考えとったら一瞬やったし」

『んぇぇ、』

「どっから出たんその声(笑)待ってる間に俺も仕事しとったからほんま気にせんとって」

『うう、申し訳ない。ほんまごめんなさい』

「謝りすぎ。次謝ったらちゅーすんで」

『へ？は？』

「ふは、せえへんせえへん(笑)とりあえず座り？」

『あ、はい、失礼しまーす、』

なんか、ほんま、ずっとこの調子。この1ヶ月、文面でもずーっとからかわれてた気がする。一々真に受ける方がアホなんかなあ。妹的な扱い受けてるのはわかるんやけど、照史くんや淳太くんとは甘やかし方がまた違うっていうか。こういうの慣れてないから対処の仕方がさっぱりわからへん。

おずおずとすえざわくんの対面の席に座ったはいいものの、なんかものすごい視線を感じる。

『な、なんですか、』

「なんかこないだと雰囲気全然ちゃうな〜と思って。髪もふわふわしとうし、メイクもちょっとちゃう？」

『あ、撮影してたときのヘアメイクのまんま来たからかな？なんかかわいい系のフェミニンな感じの、そんな感じの衣装やったんですよね、今日』

「へー。こないだはデニムとパーカーやったもんな。180度違うやん」

『あー、あの日は朝寝坊してその辺にあった服適当に着たから……。でも割と普段からあんな感じですよ？今日はすえざわくんとご飯やからちょっと頑張りましたけど』

「ちょっとなんや？」

『あ、いや、うそです、めちゃくちゃ頑張りました。死ぬ気で服選びました』

「そんな必死ならんでも(笑)」

なんとか会話の糸口を見つけたくて自分なりにすえざわくんのことを色々調べてみた。その中でわかったことのひとつが、すえざわくんはめちゃくちゃおしゃれさんでグループの衣装担当やってこと。

そんな人とご飯行くのに、下手な格好は出来ひんし、あたしなりに悩みに悩んで考えたコーディネート。
自分のセンスに自信無いわけじゃないけど、多少なりとも不安にはなるもので。その上いつもはせえへんようなヘアメイクやから余計そわそわする。