11. ページ11
.
「って、照史くん？」
『はい。あれ？照史くん、知ってます、よね？』
「あ、いや、もちろん知ってるっていうかめちゃくちゃお世話になっとうけど。Aちゃん、照史くんとも仲良いん？」
『うーん、ていうかうえすと全員仲良くしてくれてる感じです。淳太くんと照史くんに関しては望と知り合う前から良くしてくれたから特に』
「淳太くんも仲良いんや？」
『仲良いっていうか、淳太くんはあたしのママなんで』
「なんそれ(笑)」
『ちなみに照史くんはパパです』
「もっとわからん(笑)」
『ふふ、すえざわくんは？もうホテル着きました？』
「うん、さっき着いた。あんま文句言ったあかんけど、めっちゃ狭い部屋で正直萎えてる」
『ふは、そんなにです？(笑)』
「だってほんまにただのビジホやもん。風呂入って寝るだけやし別にええねんけどさ」
『明日の朝には台風いなくなってるといいですねえ』
「おらんくなってくれんと困るわ。帰られへん」
『帰ってもお仕事ですか？』
「いや？俺はないけど他のメンバーはあるんちゃう？よう知らんけど」
『そっかそっか。慣れへんホテルやとしんどいやろうし、おうち帰ったらゆっくりしてください』
「Aちゃんは？明日も仕事？」
ほんまはちょっと声が聞ければそれで良かったんやけど、なんとなくまだ電話を終わらせたくなくて会話を引き伸ばしてみる。
『お仕事ありますけど、夕方からなんで多分今日は朝まで望と映画とか見ながらお酒飲んでると思います。きっと寝られへんやろし(笑)』
こんな時にも出てくるその名前に、心の中のモヤモヤが増していく。今聞いとかな、このモヤモヤのせいで今晩寝られへんのちゃうかなってぐらい黒くなっていく心。
「……なあ、いっこ聞いてもいい？」
『なんです？』
「小瀧ってさ、あのー、どういうあれなん？」
『どういう？』
「いや、なんか昼間めっちゃ仲良さそうやったやん？しかも今日泊まるんやろ？普通、女の子の一人暮らしの部屋に男が泊まらんくない？」
焦って急に早口になって。だっさ俺。
『んー、なんていうか、腐れ縁？高校からの友達なんですよね。3年間ずーっとおんなじクラスやったんです。東京出てきてからも週一で会ったりとかするぐらいの仲良しです(笑)』
「へー、そっか、」
返ってきた答えは昼間に大晴が話してたのとほぼ一緒で少し安心した。週一で会ってんのはちょっと腹立つけど。……いや、なに腹立てとんねん。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 808人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：てと | 作成日時：2022年11月21日 23時
