世界は恋に落ちている (ページ1)

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正門くんとの出会いは、朝ドラでの共演。夫婦役を演じたことに加え、同じ大阪出身で同い年、おまけに共通の友人に西畑大吾とくれば、仲良くなるのに時間は掛からず。はじめましてから1週間もすれば連絡先を交換する仲になっていた。

正門くんと共演するよって聞いた時、あ、大ちゃんの、なんて思ってたんやけど、正門くんも正門くんで、あ、大吾の、なんて思ってたらしいことを後から聞いた。

そんな正門くんからつい先日来てた連絡。今度東京で仕事があって夜暇なんやけどご飯一緒にどう？っていうお誘い。夜なら空いてたし久しぶりに正門くんに会いたかったし、返事はすぐにOK。
色々やりとりをしている内に、その日の正門くんの撮影場所が同じスタジオのフロア違いなことまでわかった。

自分の撮影終わり、スタッフさんたちにお礼を言ってすぐには帰らず、向かうは正門くんのいるスタジオ。

シャッターとストロボの鳴る音が聞こえてくるスタジオ内に、迷惑にならないようにそーっとお邪魔する。最初は何事かと顔を顰めてたスタッフさんたちの中に何人か顔見知りの人達を見つけて手を振ると、険しかった顔は笑顔に代わり手を振り返してくれた。

「誰かと思ったらAちゃんじゃん！どうしたの？」

『お久しぶりです～！ふふ、ちょっと旦那様に用事があって』

「旦那様？」

頭にはてなマークを浮かべてたスタッフさんも、撮影中の正門くんの顔を見て納得したようで、「もうちょっとでこのカット終わると思うから待っててね」なんて声を掛けてくれた。

しばらくすると少し休憩に入るらしく撮影が止まった。モニターの前で写真の仕上がりをチェックするスタッフさんたちに混じってあたしも一緒に見せてもらっていると、後ろから肩をぽんぽんと叩かれる。振り返るとそこにいたのは驚いた顔をしてる正門くんやった。

「びっくりしたぁ……、Aちゃんなんでおるん……？」

『なんでって、今日スタジオ一緒やで～って言ったやん』

「せやけどまさか来ると思えへんやん」

『こないだ借りたジャケット、返そうと思って』

前回みんなでご飯に行った時、お店の冷房で寒がるあたしを見兼ねて、正門くんが持ってたジャケットを貸してくれた。お店を出てから返そうとすると、「まだ寒いやろ？俺暑がりやから着ててええよ。今度会う時返して？」なんてお酒で火照る顔をこてんと傾げてそのまま貸してくれた正門くんに、なるほどこれがリア恋。と納得したのを覚えてる。