83. ページ34
.
『みんなかえっちゃったねえ』
「せやなぁ。寂しい？」
『んー、ちょっとだけ』
「そか(笑)」
しゅんとした顔で唇を突き出して、ちっちゃい子みたいに拗ねてるAがかわいくて思わず頭を撫でる。その手を取って珍しく自分から絡めてくるから心臓が跳ねた。
『でもねー、やっとせぇやくんひとりじめできるからちょっとうれしーかも、えへへ』
俺の手を繋いだまま、玄関からリビングへと楽しそうに踵を返すAがかわいくて愛しくて自然と緩む頬。前を向いてるAに気づかれへんように慌てて緩んだ顔を元に戻した。
「そんなん言うけどあいつら連れてきたんAやん」
『んー、だってみんなでクリスマスしたかった…、』
酔ってるせいでいつもは我慢して言ってこえへん甘えや本音をぽろぽろと零してくれるのがかわいくて、ちょっとだけ煽られる俺の中の加虐心。少し意地悪のつもりで言った言葉は、アルコールの力で幼児退行してるAにはキツく聞こえたみたいで、しゅんと項垂れて本気で落ち込んでるように見えた。
「せやな。みんなでしたかったんやもんな。ごめんごめん」
『せぇやくん、おこってない…？』
「怒ってへんよ。俺もなんやかんや楽しかったし」
『えへへ、そっか。よかった』
「せっかくやしケーキ食おか」
『Aもってくる！』
「あー、ええよ。危ないからAはソファ座っとき」
『せぇやくんもってこれる？だいじょぶ？Aできるよ？』
「ええから。ちゃんと座っといて。わかった？」
『あい』
「ん、ええ子」
何がなんでも立ち上がろうとする酔っ払いを大人しくソファに座らせて、恐らく大晴が切り分けてくれたやろうケーキを冷蔵庫から取り出す。
『わーい！ケーキ！せぇやくんありがとぉ』
「気ぃ付けて食べや」
『サンタさんのってる！』
「せやなあ。嬉しいなあ」
『はい、せぇやくんあーん』
「、は、？」
フォークに乗せたケーキをこちらに向けるAに思わず固まる。いやいや。いくら酔ってるからってこれはあかんやん。普段甘えるの下手くそな奴が急にそんなん、ずるいやん。
『……いや？』
無言を否定と受け取ったんか、再び落ち込んだ表情をするAを見て自然と頭に伸びる手。優しく髪を梳いてやると、それだけで嬉しそうな顔に戻るからほんまにかわいい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 729人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
てと(プロフ) - 大変失礼致しました。設定変更させて頂きました。ご指摘下さった方々ありがとうございました。 (2022年10月22日 14時) (
レス) id: c558a54b1b (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑雲 - オ.リ.フ.ラ立ってます、、！外さないと違反になってしまいますよ〜^^; (2022年10月22日 12時) (レス) id: 375c64130e (このIDを非表示/違反報告)
オシヒカリ(プロフ) - オリ/フラ立ってますよ… (2022年10月22日 10時) (レス) id: dcc6542c5a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：てと | 作成日時：2022年10月22日 2時
