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『せーやく、いひゃいれす』
「うるさいあほ」
『あほちゃう』
「あほやわ。簡単に男泊めんな」
『男ちゃうもん。のんすけやもん』
「あほ。小瀧やって男やわ」
『そういうことじゃなくて』
「危機感無さすぎやねんて、ほんま。心配するこっちの身にもなってくれ」
『ふふ、心配してくれてんの？(笑)』
「はあ？心配するやろ、そりゃ」
『えへへ、そっかそっか』
「なんなんその顔。腹立つ」
『そんなとこも好きなくせに〜』
「ほんまお前なあ、」
『だいじょーぶ。あたしには誠也くんしかおらんから。何があっても他の人のところにはいかへんよ。それに、もしなんかあったら誠也くんが助けに来てくれるやろ？』
「、はあ、なんで今日小瀧おんねん、ほんま、」
『わっ、！』
ため息つきながら呆れた顔した誠也くんは、にぎにぎしてた手をぐいっと引っ張ってそのまま自分の腕の中に収めた。かと思えば、そのまま流れるようにでこちゅーまでしてきたから、思わず両手でおでこを隠した。
『な、んで、』
「はは、顔真っ赤やん(笑)」
『急にせんでよ！そういうの！』
「急じゃなかったらいいん？」
『そういうことじゃない！』
「ほんまいつまで経っても慣れへんな、A(笑)」
『慣れる慣れへんとかじゃないでしょ！びっくりするでしょ！』
「今日はこれで我慢したるけど、次東京来た時覚えとけよ」
着替えてくるわ〜、ってクスクス笑いながらあたしの寝室に入っていった誠也くんと、動揺でその場から動けなくなるあたし。付き合って1年以上経つけど、あの人のああいうとこに未だにびっくりするのと同じぐらい、なんか女の子の扱いに慣れててちょっとだけムカつく。
なんであんなにスマートなん。ほんでなんでそれが似合うん。覚えとけってなんなん。ほんまムカつく。ムカつくけど嬉しいの方が勝ってしまうのは、惚れた弱みってやつなのかなんなのか。
「なー、もう俺入ってもいい？」
『な、のん、見てたん、！？』
「見たくもないもん見せられた親友の立場にもなってくれん？」
『忘れて！今すぐ忘れて！記憶から抹消して！』
ドライヤーをし終えて気まずそうにリビングに入ってきたのんすけに、今後当分この話題でいじられるのはまた別の話。
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作者名：てと | 作成日時：2022年9月3日 5時
