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『ねね、誠也くん、』
「ん？」
『……今日はうち来てくれる？』
泣き腫らして真っ赤にした瞳でそんなこと言われたら行かんわけないやん。言われんでも行くつもりやったけど。
「ん、行く。一緒に帰ろな」
『へへ、ありがと』
「なんそれかわいすぎん？(笑)」
「ちょっとここ俺らの楽屋なんでいちゃつくのやめてもらえませんかね？」
「着替えて荷物取ってくるからAちょっとここで待たせてもらい？」
確かにいつまでもここにいてるわけにもいかんし、正直はよ帰って2人きりになりたいし。繋いでた手を解いて楽屋を出ようとしたのに、手は繋がれたまま。再び俯いたAは、一向に手を解いてくれる気はないらしい。
『……いやや、』
「Aさん？」
『……誠也くんと離れるのいや』
「離れるって言っても5分か10分やん。俺すぐ戻ってくるで？」
『んー、そうやけどぉ、』
「Aも一緒に行く？」
『……いく、』
「ふは、ほな行こか(笑)」
「またなんかあったらすぐ連絡するんやで？わかった？」
「ちょっと！なんかてなんすか！」
『淳太くん怖いから照史くんにする』
「なんでや！絶対俺に連絡しろよ！？」
「俺でもええで」
『のんすけには絶対せん』
「は！？なんで！？」
「ほんまご迷惑かけてすいませんでした。お邪魔しました」
「気ぃつけてな〜〜」
3人に見送られて数メートル先の俺らの楽屋まで手を繋いで歩く。スタッフさんは撤収作業に入っててもうほとんどおらんから気にする事は無いんやけど、それでもきょろきょろするAがかわいくて絡めた指をきゅっと繋ぎ直した。
「泣かせてごめんな」
『あの時の誠也くんほんまにこわかった』
「あのあと丈にむっちゃ怒られたわ。お前が悪いって」
『ほんまに丈くんのおうち行ったんや？』
「あの時間に行けるようなとこ、丈んとこしかないもん」
『ふふ、ほんまに仲良しさんやね(笑)』
「Aは？どうしてたん？」
『ん〜〜、ないしょ』
「え、なんでや」
『また今度ね？ほら、着いたよ！ここやろ？』
「……Aここで待っとかん？」
『なんで？いややで？絶対離れへんもん』
「あいつら絶対うるさい気ぃすんねんなあ」
扉を開けた先で待ってた5人は、一緒に連れて帰ってきたAと、繋がれた俺らの手を見て案の定騒ぎまくってうるさかったけど、そんな5人を見たAの顔が心底嬉しそうやったからまあ今回はうるさくてもええかな。
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作者名：てと | 作成日時：2022年9月3日 5時
