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いつの間にかAの隣に移動してた照史くんがAの頭を優しく撫でる。顔を上げたAの大きな瞳からは更に涙がポロポロと零れ落ちていた。
「俺もうお前おらな無理やねん。ずーっとAのことばっかり考えとった。一方的に怒って怖がらせたこと後悔してた。許してもらえるならこれからもずっと隣におってほしい」
『あたしも、ごめんなさい。約束破ってごめんなさい。わがままで、自分勝手で、めんどくさくてごめんなさい。いじっぱりでごめんなさい』
「ん、もうええよ。だからそんなに自分のこと責めんといて？それ以上、俺の大事な子のこと悪く言わんといてや」
『嫌いになってない？呆れたりしてない？』
「してへんよ。するわけないやん」
『せぇやくん……！』
「おわっ、」
急に立ち上がったかと思えば、淳太くんから離れたその手は、真正面に座る俺の方へとまっすぐに向かってきてそのまま首に腕を回された。子供みたいに泣きじゃくるAの背中を優しくさすってやる。
『せぇやくんごめんね！怒らせてごめんね！心配かけてごめんね！迷惑掛けてごめんね！』
「わかったわかった。わかったからもう謝るのおしまい」
『、うん』
「こらA！急に飛びついたら危ないやろ！怪我したらどうすんの！」
「はいはい。そろそろうちの子から離れてくださいねー」
抱きついたまま離れへん俺とAの間に割って入ったのは照史くん。俺から離れたAの両手は、そのまま照史くんの背中へと回った。
「おお、どうしたどうした。今日はえらい甘えたやな」
「あ！ちょ！照史くん！」
『照史くんも淳太くんも、あと望も。心配かけてごめんなさい。それから、ありがとう、』
「なんで俺だけついでみたいな言い方やねん」
『だって望なんもしてない』
「したやろ！めちゃくちゃ心配してたやん！」
『してた？』
「俺の心配伝わってないん？うそやろ？」
『ふふ、うそやん(笑)望もほんまにありがとう』
「分かってるならええねんけどな？」
「今度うちの子泣かせたら本気で許さんからな」
「淳太くんまじで怖いっす……」
「本気や言うてるやろ。返事は」
「……絶対泣かせませんよ。当たり前やないすか」
まっすぐに俺の方を見る淳太くんに、約束の意味も込めてAの手をぎゅっと握った。嬉しそうに握り返してくれる指先が今まで以上に愛おしい。
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作者名：てと | 作成日時：2022年9月3日 5時
