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『……なんで望もおんの』
「おったあかんのかい」
『……別にいいけど』
「ほなおる」
俺的にも小瀧はおってほしい。淳太くんと照史くんだけにされたら俺のメンタルがもたん。
向かい合ったソファには、Aを挟む形で淳太くんと小瀧。少し離れたところに照史くんが座る形になった。
「ほら、A。言わなあかんことあるやろ？」
『……うん、』
「さっき約束したやんな？」
『……した、』
「ちゃんと出来るな？」
『……できる、』
「初めてのおつかいかなんかなん？」
『望うるさい』
「望、今はあかんで、ほんまに」
「ごめん俺黙っとく」
「そうしとき」
この空気に耐えられんくなって小ボケ噛ました小瀧は、淳太くんと照史くんにものすごい形相で睨まれていた。申し訳なくなったんか、そのままAの隣から離れて照史くんの近くへと移動する。
『あのね、誠也くん、えっとね、「Aごめん」、えっ、』
小瀧のせいで更になんとも言えん雰囲気になった中で言葉を発したのは、掴んでたシャツの裾を更にギュッと握りしめて俯いたままのA。そんなAの謝罪の言葉が終わる前に自分の言葉を重ねた。
「怒りすぎたなって反省してる。Aの話もちゃんと聞かんと出ていったりしてごめん。大人げなかった」
『誠也くんはなんにも悪くないよ…！悪いのはあたしやもん。約束守らんかったし素直じゃなかった。誠也くんが怒って出ていくのも当然やと思う』
「ほんまに心配やってん。夜遅いのに全然帰ってきいひんし連絡もないし。どっかでなんかあったんちゃうかなって。でもだからって怒っていい理由にはならんよな」
『ちがう。あたしが悪いの。だから誠也くんは謝らんといて』
シャツを握ってる手とは逆の手を、爪が食い込む程に握りしめたAのスカートには、ポロポロと落ちる涙で痕が出来ていく。落ち込むととことんネガティブになるAのことやから、多分意地になってるんやと思う。悪いのは自分で、泣くのは間違ってて、でも涙は止まらんくて、そんな自分に腹が立って。
そんなAの手を優しく開いたのは、やっぱり淳太くんやった。
「こらA。謝ってくれてるんやからちゃんと顔上げて話聞きなさい。あとそんな力入れたあかん。傷になったらどうするん」
『でも〜〜！』
「今回は確かに誰がどう見たってAが悪いで？でも怒って出ていった末澤も悪いやろ？それならお互いごめんなさいでええんちゃうかなあ？」
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作者名：てと | 作成日時：2022年9月3日 5時
