アルストロメリア (ページ43)

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42.泣くも笑うも気泡に溶けてページ43

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ドームツアー最終日、東京ドーム公演2日目。
アリーナツアーから含め無事に全日程を終えた喜びから、メンバーと楽屋で軽い打ち上げをしてると部屋の扉がコンコンとノックされる。スタッフさんに頼んで連れてきて貰ったのは、

「白坂さんお連れしました！」

「すんまんせん、ありがとうございますー」

「なにしてんのA(笑)はよ入り(笑)」

中々入ってこえへんと思ったら俯いたまま入口の辺りでモジモジしてるA。のんちゃんに背中を押されて入ってきたその子は、目を真っ赤にしてボロボロと涙を零していた。

『じゅんたくんっっ、』

「お、っと、」

入口から一直線に俺目掛けて小走りで来たかと思えば、そのまま抱きついてきた。隣から照史の「淳太くんだけずるい！」の野次が聞こえてくるけど知らん。

「どしたん。まだシャワーしてないで」

『淳太くんいつでもいい匂いやからだいじょーぶ』

「そーかい(笑)」

『淳太くん、めちゃくちゃかっこよかった』

「ははっ(笑)ほんまに？ありがとう(笑)」

「A！俺は！」

『望も。照史くんもシゲくんも濵ちゃんも神ちゃんも流星くんもみんなかっこよかった』

「見学席じゃなくて普通に客席おるからめっちゃびっくりしたわ(笑)」

「あれやろ？一緒におった子、大学ん時の友達やろ？」

『うん、そう。小瀧担の子』

「え、そうなん(笑)めっちゃおもろいやん(笑)」

「あ、だから望の団扇やなくて照史と淳太の団扇持ってたん？(笑)」

『へへ、どっちか選ばれへんかった』

Aに甘いとか過保護とかファンにもメンバーにも散々言われるけど、Aだって相当マザコンやと思う。…マザコンって表現がこの場合合ってるんかどうかわからんけど。

『爆泣きしてたから隣の知らんお姉さんにめっちゃ心配されちゃった、えへ』

「してたなあ。めっちゃ泣いてたなあ」

『え、濵ちゃん見えてたん？』

「めちゃくちゃ見えてたよ！だって最前おったんやんか！(笑)」

『そやねん。友達がめちゃくちゃ神席当ててさ。もう死ぬかもしれん言うてた』

「死んだあかんって小瀧が言うてたって言うといて」

『のんすけそれ余計死ぬやつやで(笑)』

さっきまでアホみたいにワンワン泣いてたやつとは思われへん程に大口開けてのんちゃんと笑いあってるAは、それでも未だ俺の裾を離さずに腕の中にいた。言うなら今しか無いと思ったし、このタイミング逃したら多分後悔すると思った。Aもあいつも。