4.ずるいから好きです ページ5
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玄関からリビングへと続くドアは閉じられているのに、それでも聞こえてくる聞き慣れた高い声。
いつもよりテンション高めにリビングのドアを開けたのは、最近頻繁にある東京と大阪の行ったりきたりで、遠距離を感じさせない程にすっかり半同棲状態になった関西の狂犬。基、彼氏の誠也くん。
「は？なんで？」
『せーやくんおかえり〜〜』
「おかえり〜〜」
あたしの真似なのか、少し高めに作った声で誠也くんにおかえりと告げるのんすけがおもしろくてケラケラ笑いあった。そんなあたしたちを見て、さっきまでのウキウキ気分が嘘かのように眉間にシワがより始める誠也くん。あーあ、綺麗な顔が台無しや。
「なにあれ？あいつお前の前やとあんな感じなん？めっちゃおもろいやん」
『んー、テンション高い時は割とあんな感じ。ほら、小島くんにしてるみたいなん。あれのもっとひどいやつ』
「あー、なるほどな？なんか見たかったような見たくなかったような」
『ん？』
「同僚と親友の恋愛とか、見るんキツすぎん？」
『あー、それはそう』
「おい！無視すなよ！」
あ、やっと入ってきた。
眉間にシワが寄ったまま、放心状態やった誠也くんがやっと会話に入ってくる。思ったより長かったなあ。
「なんで！？なんで小瀧おるん！？」
『ちょ、誠也くんうるさい。夜やからボリューム落として』
「あ、ごめん。……ちゃうやん！なんでおるんて！」
「帰りたくなかってん」
「はぁ！？」
めちゃくちゃ誤解を招く言い方するのんすけと、更に眉間のシワが深くなる誠也くん。それと同時にのんすけから引き離すように慌てて腕を引かれた。
「小瀧との間に恋愛感情なんて一切無いことは分かってるし間違いが起こるなんてことは絶対ありえへんってのは理解してるけど、それとこれとは別問題や」って前に喧嘩したときにブチ切れながら力説されたことがある。
多分、頭では分かってても心配になっちゃうんやと思う。そんなところがかわいいなと思うし、愛しいなとも思う。言ったら怒るから本人には絶対言わへんけど。心配してくれるのが嬉しくてちょっとニマニマしてたら誠也くんに睨まれた。ごめんやん。
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作者名：てと | 作成日時：2022年9月3日 5時
