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余韻に浸りたい気持ちを抑えて次のページを捲ると、Aちゃんの横には俺らがよく知る男の人の姿。2人は指を絡ませて浜辺を歩いたり、海の家でたこ焼きを食べさせあったりと、その姿は正しく恋人そのもの。
「え？これやばない？」
「やばいな」
「やんな？かなりやばいやんな？」
「大晴。その雑誌絶対誠也くんに見せたらあかんで」
「ほんまやな。来る前になおしとくわ」
Aちゃんの隣で笑う大吾くんを見つけたまっさんは、驚いたのか一瞬目を見開いたけどすぐに真剣な顔へと戻った。気がした。
俺が知らんだけできっとこの2人にはなんかあるんやろうなって思ってはいた。ほら、だてに長いことAちゃんのオタクやってへんから。
タイミングが良いのか悪いのか。こちらも前の仕事終わりで一緒に来たらしいこじけんと、その少し後ろに誠也くんが2人揃って入ってきた。
「大晴いま何隠したん？えっちなやつ？」
「ちゃうわ！なんでそんなん持ってくんねん！」
「怪しない？」
「なあ？怪しいよな？」
完全に悪い顔をしてる2人。この2人のこういう時の団結力はマジで凄まじいものがあって多分誰も勝たれへん。案の定、隠し損ねた雑誌はいとも簡単にこじけんに奪われていた。
「すえざーさん！奪いましたよ！」
「でかした小島！、ってなんや。Aが載っとうやつやん」
「あ、そうなん？」
「俺まだ見れてないねん。みんなで見ようや」
「あ、ちょ、」
「なんやねん。あかんのかい」
「いや、えー、」
「あ！いましたよ！」
俺の静止も聞かずにページを進めていくこじけんの一言にドキッとしたけど、こじけんが開いているのは普通のファッションコーナー。よかった。そこで止まってくれて。
「ちゃうちゃう。なんか特別企画みたいなんやっとうらしい」
「そうなん？」
「なにやってるかは知らんけど。いっつもどんな撮影したとか何があったとか教えてくれんねんけど、これに関してはなんにも教えてくれんかってんなー。出てるんもネットで知ったし」
「誠也くん、……もしかして倦怠期？」
「んなわけあるか。お前次それ言ったらシバくぞ」
「ごめんやん」
一旦止めてた手を再び動かし始めたこじけんは、「どこやろ〜」なんて更にページを進めていく。あかん。気づかんでくれ。そのまま終わりまでいって勘違いやった〜〜で済ませてくれ。
「あ！これちゃん！」
「お！おった？」
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作者名：てと | 作成日時：2022年9月3日 5時
