アルストロメリア (ページ10)

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『ほら！入って入って！』

カードキーで部屋の鍵を開けたAに背中を押されパチッという音と共に部屋の電気が点くと、梅田の街並みが一望出来るほどの大きな窓と、風船や花びらなどで飾られた大きめのダブルベッドが見えた。壁にはHAPPYBIRTHDAYと書かれた風船も飾られてる。

『びっくりした？びっくりした？』

「どしたん、これ」

『んふふー！ほら、みんなよくこういうのやってるやんか？本人不在の誕生日会？みたいなの。インスタとかで見ててあーいうの1回やってみたいな～と思って！』

「本人不在ちゃうやん。めちゃくちゃ本人目の前におるやん」

『細かいことはいいの！ホテルでお誕生日会みたいなのがしたかったの！』

「ていうかほんまになんでここおるん？夜まで撮影やったんちゃうん？」

『ん～？サプライズ？お仕事夕方には終わったから、余裕で大阪行けるな～と思って急いで新幹線とホテル取って会いに来た！ほら、やっぱり直接顔見てお祝いしたいし？、わっ、』

えへへ、って笑うAがかわいくて、未だ繋がれたままやった腕を引っ張って思いっきり抱きしめた。引っ張った勢いでバランスを崩したAを支えようと思ったけど、勢いが良すぎたのかそのまま2人揃ってベッドへとなだれ込む。

「あっぶな、」

『ちょ、誠也くん！急に引っ張ったら危ないでしょ！ベッド近かったからよかったけど！』

「ごめんごめん。Aのこと好きやなーって思ったら強く引っ張りすぎた」

『なっ、』

「照れてんの？かわいっ(笑)」

『かわいくない！からかうんじゃありません！』

横に並ぶAの顔にかかった髪をよけてあげて、そのまま親指で頬を優しく撫でる。こんなこと、もう何回もしてるしそれ以上のことだってしてんのに、未だに慣れへんのか顔を真っ赤にして目を合わせられへんAがほんまにかわいくて愛しくてしゃあない。
こんな顔真っ赤にして、仕事の時どうしてんねやろ。そこはプロやからちゃんとやれてるんやろうな、やっぱ。相手役の男にもこんな顔見せてんのかなって想像したらちょっとムカついたから、それ以上考えるのはやめた。

このままキスしたいところやけど、今日ばっかりは俺のやりたいことやらせてもらうで。