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ここにAちゃんはおらんのに雑誌見てしっぽブンブン振ってる晶哉は、俺とは違うベクトルでAちゃん大好きオーラが出ててそれすらも誠也くんを怒らす要因になっている。本人全く気付かず雑誌読んでるけど。
「これめちゃくちゃ誠也くんのことやないすか」
「え、なになに」
買ってきた俺ですらまだ読んでなかったインタビューページと、目の前のイライラしてる誠也くんを見比べてはニヤニヤする晶哉にみんなの視線が一斉に雑誌に集まった。いつの間にかリチャくんも輪の中に入ってる。
「包容力ある人がタイプやって」
「こいつ包容力ある？」
「Aちゃんからしたらあるんちゃいます？年上やし」
「身長気にせえへんって」
「香水あげたんすか？」
「あー、最初のデートの時にあげたなあ。へー、あれ嬉しかったんや(笑)」
さっきまでえぐいぐらいに眉間に入ってた皺はどこへやら。ファンの子には見せられへんぐらいのニヤニヤした嬉しそうな顔した誠也くんに変わっていた。
「初恋は照史くん」
「……は？」
そのニヤニヤした顔がちょっと悔しくて、インタビュー記事の目に付いた項目を声に出して読んでみた。案の定、ニヤけた顔から一変、元々おっきい目を更におっきくして間抜けな表情に変わった誠也くん。
「え、照史くんてあの照史くん？」
「誠也くん知ってました？」
「は！？知るわけないやん！？照史くん！？なんで！？」
「タイプちゃいすぎるやん(笑)」
「ファーストキスは高一」
「あ？」
多分こじけんと晶哉以外の4人の頭の中には同じ人物の顔が浮かんでたと思う。
しまった。これは声に出すべきじゃなかった。そう思った頃にはもう遅くて、誠也くんの眉間には再びふっかい皺が刻まれていた。
「ちょちょ、誠也くんちょっと落ち着きましょ、ね」
「そうやで過去のことなんやからしゃあないやろ」
「ちょっと電話してくる」
「こらこらどっちに電話する気ですか」
「両方じゃボケ」
「たぶんあっちも今忙しいから後でにしましょ！打ち合わせ始まるし！」
「……待って？大晴この状況わかってるん？なんもわからんの俺と晶哉だけ？」
「ちょーもうこじけんややこしいから今は黙ってて！あ！ちょ！誠也くん！出ていったらあかん！」
「1本吸ったらすぐ戻ってくるから先始めといて」
流石に電話はせんかったけどラインはしたらしい誠也くんが、打ち合わせ中もずっとスマホ気にしてソワソワしとったのは言うまでもないと思う。
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作者名：てと | 作成日時：2022年9月3日 5時
